第1回「3%賃上げ」、どう考える 介護現場「人手不足解消には不十分」

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聞き手・有近隆史
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 政府が介護や保育、障害福祉にたずさわる人たちの賃金を3%(月額9千円)程度引き上げることを決めました。看護師は新型コロナ対応などにあたる人に絞ってまず1%(月額4千円)程度引き上げ、段階的に3%引き上げるとしています。社会を支える役割を担いながらも、低いままの待遇。長年の課題は、これで解決されるのでしょうか。現場や研究の一線に立つ人たちに、どう考えるかを聞きました。

 連載の1回目は、NPO法人「暮らしネット・えん」代表理事の小島美里さんです。

小島美里さんの三つの視点

1)賃上げ自体は朗報。ただ、慢性的な人手不足を解消するには不十分

2)低賃金の背景に、家庭のなかで女性が担ってきた労働は低賃金でよいと考えられていることがあるのでは

3)賃上げを介護報酬で手当てすると利用者負担が重くなるおそれ。一般財源で対応を

 ――岸田政権は介護職員らの賃金を3%程度、引き上げることを決めました。

 賃上げ自体は朗報です。長引くコロナ禍のなか、現場で働く職員たちは感染リスクにおびえながらも日々、目の前にいる利用者さんの生活を守ろうと仕事をしてきました。今も感染者数は少なくなったとはいえ、緊張感を緩めずに仕事をしています。少しでも職員に報いられればと思います。

 ただ、これでお茶を濁されても困ります。

 職種別の平均賃金をみると、2020年の「介護分野の職員」の月収は29万3千円。「全産業」の35万2千円を大きく下回っています。介護を必要とする高齢者はますます増えるのに、慢性的に人手不足の状態です。人材難をどうにかしようと思うのであれば、同水準にしないと意味がないと思います。

ホームヘルパー、有効求人倍率14.92倍

 ――ホームヘルパーの20年度の有効求人倍率は14.92倍でした。

 新型コロナの影響で経済状況…

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    清川卓史
    (朝日新聞編集委員=社会保障、貧困など)
    2021年11月30日12時41分 投稿

    【視点】 「介護職 24年続けたが」。そんな見出しの投稿が先日、朝日新聞生活面「ひととき」欄に掲載された(11月24日、東京本社版)。「やりがいを感じる瞬間もたくさんあった」と振り返りつつ、「けれど、疲れた」と。ストレスと人手不足、手取り17万円。