にぎわい戻っても「街全体が大きな牢獄」 心閉ざしたミャンマー国民

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ヤンゴン=福山亜希
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 ミャンマーの照りつける太陽の下を、日傘を差して人波が行き交う。大通りの交差点は数珠つなぎの車で渋滞し、クラクションがけたたましく鳴り響く。

 人間はこんなにもしたたかに、切り替えられるものなのか。昨年10月以来、1年ぶりに見る最大都市ヤンゴンの街には、クーデター前と変わらない光景が広がっていた。

 国軍がクーデターを起こしたのは2月1日。現地の人権団体によると、抗議した1200人以上の市民が殺害された。なかなかビザが発給されず、バンコクから記事を書いていた私は、毎日のようにSNSのライブ中継で、ヤンゴンの繁華街のデモの様子を見ていた。国軍が無差別に市民に発砲する映像はSNSで拡散し、私も衝撃を受けた。

 国軍兵士がにらみをきかせる静まりかえった街を想像していた私は、にぎわう街の姿にあっけに取られ、混乱した。大勢が抗議デモに繰り出し、兵士の銃弾に逃げ惑った通りは今、通勤の人々や車で埋め尽くされている。

人でごった返す市場

 大学が集まるフレーダン地区は、2月28日の弾圧で若者2人が殺害された現場だ。犠牲者の一人、会社員ニーニーアウンテッナインさん(23)の死は、銃撃の一部始終を捉えた映像がSNSで拡散。国際社会が国軍の批判を強めるきっかけとなった。

 だが、11月上旬のフレーダンは、まるで違う場所かと思うくらいに表情を変えていた。彼が倒れた歩道を勤め人風の人たちが家路を急いでいる。

 花も供えられていない。ここ…

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