殻を破った確かな感触があった。
「やっと次のステップに行けたんじゃないかなと思っています」
充実の笑みを浮かべたのは、友野一希(セントラルスポーツ)だ。フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ、ロシア杯で総合3位に食い込んだ。
試合から一夜が明け、エキシビション練習の合間。ソチのオリンピックパーク内にある会場「アイスバーグ」の2階コンコースで取材に応じた彼は、「積み重ねてきたものがしっかり形になった試合だった。しかも、優勝できなかったのが悔しいと思えている」と手応えを語ってくれた。
記憶の奥には、3年前の世界選手権がずっとあったという。けがの治療に専念する羽生結弦(ANA)に代わって出場し、5位。大健闘だった。
「自分の実力じゃないっていうわけじゃないんですけど、なんか出来すぎてしまって……」
当時、シニア1年目。19歳の大学1年生だった。
「ただの学生スケーターで、正直トップをめざすような選手ではなかったんです。(スケートは)大学4年生でやめて普通に働くんだろうなと思っていた」
もがき続けて見えてきたものとは。そして五輪への思いを語ります
五輪についても、「4、5年…

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