第5回伊藤比呂美さんと詩を作る 自由に遊ぶ 村上春樹さんも朗読に参加

中村真理子
[PR]

 詩人の伊藤比呂美さんによる詩作のワークショップが先月27日、早稲田大学国際文学館(通称・村上春樹ライブラリー)で開かれた。ライブラリーの開館記念企画「Authors Alive!~作家に会おう~」の第5回。完成した詩の発表には村上春樹さんも朗読で加わり、にぎやかなひとときに。参加者は詩を作る楽しさと難しさを体感していた。

 「連詩をやっていきます」。伊藤さんの高らかな宣言に不安そうな顔も。早稲田大の学生ら公募の十数人が参加した。4人ずつ四つのテーブルに分かれ、チームをつくる。1枚の大きな紙を共有して4人が順番に言葉を書き出してゆく。

 発句は伊藤さんが決めた。「急いだ方がいい」「わたしはそれほど長くこの場所に留まることはできない」。村上さんの『騎士団長殺し』の引用だ。ここから言葉を続けてゆく。とはいえ、手が動かない人も少なくない。実はワークショップは文学館に着いた瞬間から始まっていた。

 参加者は受付でメモ用紙を渡され、伊藤さんと館内をめぐり、目に入ったものを書きとめていたのだ。「大きな階段」「トンネル」「踊る」。歩きながら集めた言葉からイメージを広げていく。「自分の心の中から何か思い出したいことを思い、今まで気がつかなかったことを書いてください」と伊藤さん。

 伊藤さんからは詩のコツも明かされた。「接続詞をぎりぎりまで消すこと。接続詞は書き手が自分の論理でつながりを作ってしまうのでほかの人が関われない」。一番大切なのはリラックスすること。「あなたの作品ではなく、みんなの作品だから遊んでください。日本文化で育った人はまじめになるんだ。肩の力をぬいて」

 各テーブルを回りながら、ペンを手に固まっている人には「トイレやほかの部屋に行って迷っておいで」と声をかけ、言葉のつながりが破綻(はたん)してみえる人には「すごくいいよ、連詩は殴り合いなの」と絶賛する。

 完成した四つの連詩は、どれも言葉が縦横無尽に踊っていた。伊藤さんはこう呼びかけ、しめくくった。「詩は自分に向き合わなくてはいけないし、書き慣れてくると行き詰まることがある。でもみんなで連詩をすると自由になる。今日の楽しさを忘れずに、詩に邁進(まいしん)してください」

 「Authors Alive!~作家に会おう~」は全6回の予定。詳細はウェブサイト(https://www.waseda.jp/culture/wihl/別ウインドウで開きます)で。(中村真理子)