「黒い雨」救済、国と広島県などの協議開始 高裁判決からの後退警戒

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福冨旅史、比嘉展玖、遠藤隆史
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 広島への原爆投下後に降った「黒い雨」をめぐり、厚生労働省は11月30日、広島県広島市などと被爆者健康手帳交付の新たな審査指針についての初会合を開いた。厚労省は協議を続け、今年度中に新指針をまとめ、来年4月の運用開始をめざすとするが、広島市などからは、要件が厳しいものにされないか懸念する声も出ている。

 黒い雨をめぐっては、昨年7月の一審・広島地裁判決が、黒い雨に遭い、がんなどの疾病にかかれば被爆者にあたると判断。さらに今年7月の二審・広島高裁判決では、「黒い雨に遭った人は被爆者にあたる」として、原告84人全員を被爆者と認めた。県や広島市によると、会合で厚労省から原告全員の共通点として、黒い雨を浴びたこと▽その場所が、自宅や自宅周辺だったこと▽健康管理手当の対象となる11種類の疾病を発症していること▽黒い雨を浴びた後も同じ場所で生活を続けていたこと――の4点が示された。

 厚労省が共通点をまとめたのは、菅義偉首相(当時)が高裁判決後に上告を断念し、原告と「同じような事情」の人たちの救済についても「早急に対応を検討する」との談話を表明し、閣議決定したためだ。厚労省の担当者は「指針の原案ではない」としているが、広島市幹部は「これをもとに指針を議論していくことになるだろう」と話し、がんなどの疾病にかかわらず被爆者と認めた高裁判決から後退することを警戒する。

 広島県は「(援護対象を)絞…

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