対中国へシフト、米軍の事情 予算の抑制と資源の再配分

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ワシントン=園田耕司
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 米国防総省が世界規模の米軍態勢を見直す「グローバル・ポスチャー・レビュー」(GPR)で、対中シフトを鮮明に示した。米領グアムや豪州の基地強化に取り組む。ただ、国防総省高官は中東地域などの米軍態勢に大きな影響はないとの考えも強調。限られた資源をどう再配分するかという悩みも抱えている。

 国防総省がGPRで、インド太平洋地域における米軍のプレゼンス(存在)を引き上げる考えを示したのは、バイデン政権が「地政学上最大の試練」と位置づける中国への危機感がある。中国は南シナ海や台湾周辺で活発な軍事活動を行い、近年は核ミサイル開発を急速に進展。今夏に中国が行った極超音速(ハイパーソニック)兵器の実験は米軍に衝撃を与えた。米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長は1957年に旧ソ連人工衛星を人類史上初めて打ち上げた「スプートニク・ショック」の衝撃を例に出し、「極めてそれに近い」とした。

 もともとバイデン大統領が2月にGPRの立案をオースティン国防長官に指示したのは、中国の脅威を見すえ、米軍を中東周辺からアジアへとシフトさせる流れを加速させるためだった。米国防総省内で対中戦略の見直しを進めてきた対策チーム「チャイナ・タスクフォース」は6月、中国への対処を最優先に取り組むように求める提言を出しており、今回のGPRにも反映されている。

 高官がこの日、具体的に基地強化について言及したグアムと豪州は、対中戦略上の要衝だ。グアムは中国と向き合う米国の最前線に位置し、アンダーセン空軍基地など重要施設をもつ。グアムは中国の弾道ミサイルの射程内に収まっているため、米インド太平洋軍はグアムを守るためにミサイル防衛を強化する方針を示している。豪州は最も信頼できる米国の長年の同盟国の一つで、インド太平洋地域に位置する。米国は南シナ海での中国の軍事活動を見すえつつ、米英豪の安全保障協力の枠組み「AUKUS(オーカス)」を通じて豪州に原子力潜水艦の技術を提供し、米国主導の軍事演習を増やしていく予定だ。

 一方、高官はグアム、豪州以外の国・地域についての説明は避けており、在日米軍への具体的な影響は不明だ。高官は日本を含めた同盟国と緊密に協議する考えを示しており、今後の協議で明らかになるとみられる。ただ、国防総省関係者によれば、今回のGPRで米軍普天間飛行場辺野古移設の見直しにつながる可能性は低いという。

 そもそも今回のGPRは短期…

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