愛知県、人権条例制定へ 弁護士有志は「実効性」を要請

黄澈
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 特定の民族への差別をあおるヘイトスピーチなどが問題となるなか、愛知県が「あらゆる差別の解消」を目指す包括的人権条例の制定を検討し、その骨子案を公開している。これに対し、人権問題に取り組む弁護士らは「より実効性のある条例」を求めている。

 県は7月、ネット上の誹謗(ひぼう)中傷の多発など、人権を取り巻く状況が変化するなか、今後の施策への助言を得るための有識者会議を設置した。8月の第1回会議では、複数の委員が人権条例の制定を提案し、県人権推進課が骨子案のたたき台を作成。10月の第2回会議を経て公開し、11月26日までパブリックコメントを実施した。

 骨子案は「全ての人の人権が尊重される社会づくりを目指す」とうたい、施策を総合的に策定、実施することを県の責務と規定。これに対し、ヘイトスピーチ問題などに取り組んできた県内の弁護士有志は、条例制定を歓迎しつつ、内容の改善を求める要請書を県に提出した。

 「県に実効性ある人権条例の制定を求める弁護士の会」(呼びかけ人、青木有加弁護士ら6人)が最も問題にしたのは、骨子案が部落差別や性的指向による差別などに対し、主に「啓発」で対応するとしており、「差別の禁止」を明記していないこと。「何が差別かを具体化し、違法として禁止することが出発点」と主張している。

 また、骨子案にある「インターネット上で誹謗中傷を受けた被害者の支援」については、具体的な取り組みとして「県が調査して、削除要請すること」や、「県民が県に通報できる仕組み」が必要と指摘した。

 ヘイトスピーチ問題で、骨子案は「公共の場所で不当な差別的言動が行われた場合、概要の公表を行う」との記述にとどまる。弁護士の会は「氏名も公表しなければ、抑止効果は弱い。ネット上のヘイトも含め、公表の対象にするべきだ」と指摘。将来的には、川崎市条例のような刑事罰の検討も求めている。

 30日、県庁内で記者会見した呼びかけ人の裵明玉(ペミョンオク)弁護士は「差別の放置は、マイノリティーへの暴力を誘発する。県民の声をしっかり聴き、いい条例をつくってほしい」と話した。

 県人権推進課の安藤修担当課長は「有識者会議の議論と県民の意見を踏まえつつ、条文を固めていきたい」と話している。(黄澈)