北海道鶴居村に集うタンチョウ、どう分散? 餌の削減は見合わせ

武沢昌英
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 環境省は国の特別天然記念物タンチョウの生息地域の分散拡大に向け、北海道釧路地方で年度ごとに段階的に進めている給餌(きゅうじ)量の削減について、鶴居村では今年度から3年間、削減を見合わせることにした。村側が、適正な給餌方法や農業被害の防止体制の確立のための調査期間が必要だと環境省に要望していた。

 今年度の給餌計画は11月8日、環境省主催のタンチョウ保護増殖検討会で示された。

 環境省は毎年11月から翌年3月まで、鶴居村2カ所、釧路市阿寒町1カ所の計3カ所で給餌を続けている。だが、タンチョウが過度に集中すると感染症が発生する危険性があるため、生息地域を拡大させる目的で2015年度から給餌量を段階的に減らしてきた。

 環境省の委託で北海道が毎冬2回行っているタンチョウの越冬分布調査で最新の20年度2回目(21年1月実施)では全道で1516羽が確認され、過去最多だった前年度の記録を更新した。このうち、釧路地方が全体の9割を占め、市町村別では鶴居村の698羽が最多だった。

 近年、道央地域などで越冬するタンチョウの数も少しずつ増えてきている。ただ、水環境などの冬ごとの変化もあり、釧路地方での給餌量削減との因果関係は明らかになっていない。

 給餌量の維持を受け、鶴居村はタンチョウの飛来数や行動の特徴を一定条件のもとで調査する。

 環境省の委託を受けた鶴居村の給餌場の一つで、タンチョウの保護などに取り組む公益財団法人「日本野鳥の会 鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ」の原田修チーフレンジャーは「適正な給餌方法、農場敷地内へのタンチョウの侵入をいかに防ぐかなどの試行、実験をして、地域で合意が得られる体制を準備していきたい」と話している。(武沢昌英)