トップ画面には、裸でまわしを締めた大男がずらりと並ぶ。「ただの大きな人間ではありません」との文言も。
異様なのに、どこかほんわかしたホームページは、「シリウス」という株式会社が手がける「スモプロ(お相撲さんプロモーションズ)」のものだ。
その名の通り、スタッフは元力士。代表を務める上河啓介さん(44)も、若天狼というしこ名の十両力士だった。
スモプロは、元力士専門の芸能事務所のようなイメージだろうか。固定メンバーが4、5人がいて、仕事内容によって提携する元力士もいる。
スポーツPlus
スポーツPlusはオリジナル記事を有料会員の方にメールで先行配信するニュースレターです。今回は1月4日配信分をWEB版でお届けします。
映画やCM、ドラマで「体の大きな人」が必要なら、元力士たちに仕事が回ってくる。本物だから相撲の動きもお手の物。風呂をテーマにした映画「テルマエロマエⅡ」には、元幕下力士が出演した。人気俳優が力士に扮したあるCMの「首から下」は、上河さんの体を合成したものだという。
もちろん、「180センチ、100キロくらいの人、いませんか?」なんていう依頼はそうそう来ない。
彼らは普段、東京都内の飲食店などで相撲ショーを開催したり、シリウスが運営する介護施設で働いたりしている。スモプロの目的は力士のセカンドキャリア支援だ。
「中学卒業と同時に力士になる子も多い。先のことを考えずに稽古し、20代後半から30代で辞めるとすれば、そりゃ厳しいですよ。自分が何をしたいのか、何ができるのかも分からないですから」
そう話す上河さんにも、同じ経験がある。
2011年2月1日。初場所が終わったばかりのタイミングで、力士らによる八百長問題が発覚した。関与を疑われた一人が若天狼だった。
日本相撲協会から下った処分…
【視点】アスリートのキャリア・トランジションには多くの人が関わるようになってきていますが、お相撲さんのケースは初めて耳にしたので興味深かったです。相撲界特有の環境で育ってきた背景から、一般のアスリートよりもさらにトランジションが難しいと感じました。