新年幕開けは月組「今夜、ロマンス劇場で」 新トップコンビの芝居心

宝塚歌劇団

田部愛
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 宝塚大劇場の2022年は、月組の新トップコンビのお披露目公演で幕を開けた。映画が原作のロマンチックな世界観を、月城(つきしろ)かなとと海乃美月(うみの・みつき)が繊細に表現している。

カラフル×モノクロを融合

 「今夜、ロマンス劇場で」は、綾瀬はるかと坂口健太郎の主演映画のミュージカル版。1960年代、映画監督を目指す助監督の健司(月城)の前に、繰り返し見ていた古い映画のヒロイン・美雪(海乃)が現れるところから物語は始まる。

 モノクロ映画の登場人物が、カラフルな現実世界に飛び出すファンタジックな設定。だが、モノクロ映画の世界の人間は白やグレーの衣装に統一するなどして、二つの世界を違和感なく融合させた。

ピュアな2人 巧みな演技で

 月城演じる健司の頼りない姿が、なんとも愛らしい。どこにいても居心地の悪そうな立ち姿、ドジを踏んだ後のボサボサ頭、美雪に振り回されているときのあたふたしつつうれしそうな表情。ただ素朴な健司がそこにいる。

 相手役の海乃も巧みに応える。「おい!」「いくぞ」「おまえは私のしもべだ」と、字面ではドキッとするようなセリフを連発する。だが、下品に聞こえない。落ち着いた声質や無邪気な表情で、おてんばな人柄を表現する。

 新トップ2人の作品への熱量や細やかな芝居心が溶け合いながら、テンポ良くストーリーは進む。エンディングに向かうにつれて、ピュアな健司と美雪の行く末を応援したくなる。

違った魅力の男役たち

 「ロマンス劇場」がやわらかい満月なら、後半のショー「FULL WING!」は魅惑的な三日月。打って変わってギラギラオーラをまとった月城が、冒頭のアカペラで観客の視線を釘づけに。要所を締めるベテランの鳳月杏(ほうづき・あん)、身体能力の高い暁千星(あかつき・ちせい)、若手ながら存在感抜群の風間柚乃(かざま・ゆの)ら違った魅力を持つ男役がそれぞれの場面を引っ張り、飽きさせない。フィナーレでは月城、海乃のほか、鳳月も背中に大きな羽根を背負った。

 新トップとしての意気込みを問われたとき、月城は「みんなと一緒にやっていくことを大切にしたい」と語った。自身が光をまといつつ、作品や共演者をも輝かせている。

千秋楽にライブ配信

 宝塚大劇場は1月31日まで。千秋楽は午後1時から、動画配信サービス「Rakuten TV」と「U―NEXT」、「dTV」でライブ配信される。東京宝塚劇場東京都千代田区)は2月25日から3月27日の予定。(田部愛)