茨城が魅力度最下位なんて! 実は食の魅力いっぱい

古源盛一 藤田大道 西崎啓太朗 久保田一道 滝坪潤一
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 昨年、都道府県魅力度ランキングで2年ぶりに最下位とされた茨城。でも、山も海も田畑もあって、大都会の一大食料庫なんです。食にまつわる全国ナンバーワンを探してみると、出てくる出てくる。魅力のあるものが多すぎて、目立たないだけかもしれません。

1、メロン

 茨城はメロンの大産地だ。農林水産省の作物統計で、出荷量は3万1600トン(2020年)と全国の23%を占める。県によると22年連続の日本一だ。

 その中でも県内一の産地、鉾田市の担当者は「コロナ禍でホテルや旅館、宴会場での消費が減ったが、個人消費や贈答用は堅調だった」と話す。

 戦前は細々と栽培されていたが、1960年代に作付けが増えた。62年に甘みの強いプリンスメロンが登場。旭村や鉾田町(いずれも現在の鉾田市)などで、でんぷん用のサツマイモや麦に代わって導入された。70年代以後はハウス栽培が進み、編み目のある各品種が人気となった。メロンでの農家所得額でも鉾田市は全国1位を走り続ける。(古源盛一)

2、鶏卵

 小美玉市は鶏卵の全国有数の産地だ。2018年、全国の市町村で産出額が1位となった。同市の鶏卵農家島田修治さん(51)は2万7千羽を飼い、840万個近くを毎年出荷する。農協に卸すほか、市内のコインランドリーの一角に自動販売機を構えて販売する。

 茨城県全体の鶏卵生産量も、全国の都道府県で1位だ。農林水産省がまとめた鶏卵流通統計では23万2686トン(2020年)と全国の8・8%を占める。島田さんの自販機では黄身二つ入りの卵が買える。日齢がほぼ同じ鶏が産んだ卵の中に紛れて、明らかに大きいものはたいてい二つ入っている。黄身二つの卵は全体の0・5%以下といい、「スーパーには卸しておらず、自販機限定です」。(藤田大道)

3、ホッケ干物

 太平洋沿岸で、ホッケの生息域では南限とされる茨城。ほとんどとれないが、干物の生産量は全国一だ。

 農林水産省の水産加工統計(2020年)によると、茨城は9062トンで、2位の千葉に大差をつけている。特に大洗町ひたちなか市で生産が盛んだ。

 大洗町の水産加工業者「マルショウ」の大川祐司社長(53)は「ホッケの干物は1980年代に居酒屋チェーンで人気メニューになった。大洗の業者が量産するようになったのもその頃です」と語る。

 東京港や仙台港経由で輸入された米アラスカ産のシマホッケを加工するのが主流という。大川さんは「干物のホッケを唐揚げにするのもおいしい食べ方です」と教えてくれた。(西崎啓太朗)

4、納豆

 納豆製造量の都道府県別の統計はない。だが、全国納豆協同組合連合会の広報担当者は「総合的に見て間違いなく茨城が全国1位」と断言する。

 理由として、県内に「おかめ納豆」で知られるタカノフーズ(小美玉市)やオーサト(取手市)など大手納豆メーカーの工場があることや、連合会に所属する事業者が全国で最も多いことを挙げる。

 水戸市のだるま食品は、1948年の創業以来、わら納豆を作り続けてきた。水戸の土産品として人気なだけに、人の流れが抑制されたコロナ禍は逆風だったが、昨年10月以降は回復傾向という。高野友晴社長(49)は「豆の味がよく出ていて歯ごたえもある。ぜひ味わってほしい」。(西崎啓太朗)

5、サバ

 2020年の茨城のサバ類の漁獲量は6万2300トン。2年ぶりに日本一となった。農林水産省の海面漁業生産統計(速報)のこの数字は、漁船が所属する都道府県で集計したものだ。

 サバやイワシのまき網漁船の会社は県内に14社あり、東日本一の数を誇る。サバは春先に伊豆沖で産卵した後、北海道に北上、秋から冬に南下する。その群れを各船が追いかける。

 栄養を蓄えた冬の寒サバは、鹿嶋から千葉沖が漁場だ。水揚げされる銚子漁港に近い「高木商店」(神栖市)はこの時期、朝仕入れた魚で各種サバ缶を製造する。高木俊和専務(45)は「新鮮で脂ののりが違う。温暖化で寒サバが捕れる量が減っているのが心配ですが、良い物を作り続けます」。(古源盛一)

6、ビール

 茨城は関東一の酒蔵数を誇る酒どころだが、ビールの生産量は日本一だ。

 2019年度の国税庁の統計によると年間生産量は34万9975キロリットル。キリンビールが取手市に、アサヒビール守谷市に工場を構えていることが大きい。キリンビール茨城支店の担当者は「利根川が近くビールづくりに欠かせない水の安定供給が期待できる。首都圏への物流にも利点がある」。

 群雄割拠のクラフトビール市場で光るのが、木内酒造(那珂市)の「ネストビール」。国内のみならず約40カ国に展開する。古代米や福来(ふくれ)みかんを使うなど、豊かな発想が商品開発に生きる。醸造士の宮田輝彦さん(42)は「他のメーカーと団結し、『ビールと言えば茨城』という存在を目指したい」。(久保田一道)

7、栗

 農林水産省の作物統計によると、2020年の栗の収穫量は、茨城が3790トンと日本一。全体の22%を占める。

 中でも笠間市は栽培面積が県内で最も広い。市内の1・4ヘクタールで12品種の栗を栽培する深沢悌二さん(67)は、栗を専用の冷蔵庫に入れてマイナス1~0度で保管し、1カ月ほど熟成させる。深沢さんによると、熟成させることで糖度が約3倍になり、30%を超えることもあるという。

 「冬から春の間に枝をうまく落とせれば、翌年秋にはいい実ができる」と深沢さん。

 種類によって枝を落とす場所が異なり、風通しと日当たりが良くなるよう考えて落とす。「次の収穫に向けた闘いはもう始まっています」(藤田大道)

8、常陸大黒

 茨城県のブランド花豆(ベニバナインゲン)「常陸大黒(おおぐろ)」は、偶然から生まれた。1993年、県農業総合センター生物工学研究所で、貯蔵用の種を更新するため、白い豆と、黒と紫のまだらの豆を植えたところ、収穫した豆の中に黒一色のものを見つけた。

 「間違えた?」

 当時主任だった横田国夫所長(59)は驚いた。重さ約2グラム。こんなに大きな黒豆は見たことがない。「地域の特産品になる」と直感した。黒い豆だけができるようにして、2002年に品種登録した。県内のみで生産され、上品な味わいで菓子などに使われる。大子、城里各町、北茨城、高萩、日立、常陸太田、常陸大宮各市の約40軒の農家で、19年には約1・5トンが収穫された。(滝坪潤一)