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3回目ワクチン「8カ月」の理由は 議論に加わった専門家に聞く

有料会員記事新型コロナウイルス

聞き手 編集委員・田村建二
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 新しい変異ウイルス、オミクロン株が国内でも確認されるなか、新型コロナワクチンの3回目の接種が始まりました。オミクロン株はいまのワクチンが効きにくい恐れがあるとされ、大手製薬会社はオミクロン株に対応した新しいワクチンの開発に意欲を示しています。どう考えればいいのか、ワクチンに詳しい川崎医科大の中野貴司教授(小児科)に聞きました。

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川崎医科大の中野貴司教授。厚労省の予防接種・ワクチン分科会の分科会長代理などを務めている

 ――いまのワクチンは、オミクロン株には効きにくいかもしれないと言われていますね。

 オミクロン株は、ウイルスが細胞に最初にくっつく部位である「スパイクたんぱく質」にこれまでで最も多い30以上の変異をもっています。

 ワクチンは、このスパイクたんぱく質を標的に、ウイルスが細胞に感染しないようにする抗体を体に作らせますが、この部位にたくさんある変異の中には、これまでにワクチンが効きにくくなると指摘されている変異もあります。そうなると、できた抗体がうまく働かない恐れがあります。

 一度新型コロナにかかった人には、ワクチンを打った人と同じような免疫のしくみが備わりますが、オミクロン株ではその免疫をすり抜けて、再感染を起こしやすくなるのではないかとも言われています。

効きにくいかも でも……

 ――では、ワクチンはまったく役に立たないのですか。

 そうは思いません。オミクロン株も、新型コロナというウイルスであることには変わりません。ワクチンには、ウイルスが細胞に感染するのを防ぐ役割に加えて、ウイルスに感染してしまった細胞を排除するような免疫を付ける作用もあります。

 たとえ感染を防ぐことができなくても、かかった人が重症化したり、亡くなったりするのを防ぐ効果はあるのではないかと期待しています。

 ――3回目の接種は、オミクロン株に対抗するうえでどんな意味がありますか。

 2回の接種から一定の時間がたつと、新型コロナに対する免疫の機能が徐々に弱まっていくことがわかっています。3回目の接種は、弱まってきた免疫をより強固にすることが目的です。強固になれば、オミクロン株に対してもある程度の効果を示すことができるのではないか、と考えることができます。

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オミクロン株が最初に報告された、南アフリカのヨハネスブルクにある空港の入り口付近。旅客の姿はまばらだった=11月28日、遠藤雄司撮影

 オミクロン株にいまのワクチンが本当に効きにくいのか、どの程度効きにくいのかは、世界の研究者が実験室で調べている段階です。その結果によっても、3回目接種の意味合いは変わってくるでしょう。

 ――海外の大手製薬会社は、オミクロン株に対応する新しいワクチンを、必要であれば約100日で出荷できると言っています。本当にできるでしょうか。

 過去に現れた変異ウイルスの「ベータ株」なども、ワクチンが効きにくい可能性が示されてきました。

 より感染力の高い変異ウイルス「デルタ株」が世界で主流になり、ベータ株はそれほど広がってはいませんが、大手の製薬会社はおそらくベータ株などを材料に、こうしたウイルスに対抗できるワクチンの基礎研究を続けてきたのでしょう。

 オミクロン株が登場してすぐ、ワクチン開発について声明を出した背景には、こうした研究の蓄積があるのではないかと予想しています。

新しいワクチンを待つべきか

 ――では、オミクロン株に向けた新しいワクチンが完成するのを待ったほうがいいのではないですか。

 確かにそれも一つの選択肢で…

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