第4回これでは労働市場で勝てない 賃上げ財源、見直しを 結城康博教授

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聞き手・石川友恵
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 岸田政権は介護や保育、看護、障害福祉で働く人たちの賃金を3%程度引き上げる方針を掲げています。これらの分野における待遇の低さといった問題は改善されるのでしょうか。連載の4回目は、社会保障政策に詳しい結城康博・淑徳大教授に話を聞きました。

結城康博さんの三つの視点

1)本来は5万~10万円の賃上げが必要。これでは労働市場で他産業に勝てない

2)今の仕組みでの賃上げは「限界」。財源の幅を広くするため「税」を主な財源に

3)人手不足の現状で、団塊世代が85歳以上となる2035年ごろに「大変な事態」に

    ◇

――介護職員の処遇改善はこれまでも実施されてきました。一方で現場で働く人からは「賃金があがっていると実感ができない」という声も聞きます。

 処遇改善が始まった2009年度から19年度までに月額7万5千円程度あがったとされます。ただちょっとずつ賃上げしているので、実感がわきにくいのが要因の一つだと思います。また19年度からは、10年以上勤務する介護福祉士ら、経験や技能のある人に限った処遇改善もされましたが、介護現場は入れ替わりが激しく、長く勤務する人が少ない。対象者は限定的です。

 ――今回は月額9千円程度の引き上げとなっています。効果はあるのでしょうか。

 介護職員の平均賃金は、全産業と比べると月額で5万9千円低くなっています。やらないよりはましですが、本当は5万~10万円上げないといけません。正直、月9千円増えても外食に行ける回数が増えるくらいでしょうか。人手不足が問題となっていますが、これでは学生からも選ばれにくく、労働市場で勝てません。介護職は認知症の人への対応、医療的なケアなど専門性も高い仕事です。ケアの内容などについてどうしていくか考える必要があるのに、そもそも賃金が全産業の平均より低くて人手が集まらないとなると、それを考える土俵にすら立てません。

中長期の視点、単純に喜ぶだけでは…

 ――全産業並みの賃金になる…

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