コロナ時代を住まう 都市か地方かより「誰とどう生きるか」の選択肢

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コラム「地方季評」 ローカルジャーナリスト 田中輝美さん 

 「やっぱりこれからは都市よりも地方でしょうか?」。新型コロナウイルスが感染拡大した昨春以降、地域専門のローカルジャーナリストとして活動する私のもとには、何度となくこんな問いが投げられてきた。都市か、地方か――。

田中輝美(たなか・てるみ)さん ローカルジャーナリスト。島根県立大学准教授。同県の地元紙「山陰中央新報」の記者を経て独立。著書に「関係人口をつくる」「ローカル鉄道という希望」など。

 実際、都市の代表的存在である東京から転出する人は増えている。一極集中と言われてきた東京都は2020年5月、転出超過に転じた。統計的に比較可能な13年7月以降で初めての事態だ。その後は、転出超過の傾向が基本的に続いている。戦後の日本では高度成長期以降、地方から都市へという一方通行的な人口移動だった。それが転換したのだ。コロナ禍が与えたインパクトは大きいと言えるだろう。

 ただ、埼玉・千葉・神奈川の3県を含む「東京圏」で見ると、直近のデータは1022人の転入超過。総体としては「東京から地方」というよりも、「東京から近郊」に転出しているのが現状のようだ。

 転出・転入とは言っても、そのままそこで暮らし続けるとは限らない。転勤や進学をはじめとして、一定の期間が過ぎれば離れるパターンも存在している。そこで、私が暮らす島根県では、より正確な実態を把握しようと、転入してきた人のうち、5年以上島根県で暮らすと答えた人を移住者としてカウントしている。そのデータによると、近年の移住者はだいたい年間4千人程度。講演会でこの数字を紹介すると、会場ではどよめきが起こる。100人くらいと予想していた人がとても多く、驚きをもって受け止められるのだ。ちなみに、20年度は首都圏からのIターン者が過去最高の284人となった。

 地方に暮らす身としては、数字よりも大きなインパクトを感じることがある。人口をめぐる価値観の一種の「逆転」だ。

 島根県のお隣、鳥取県の智頭…

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