第5回3%賃上げ「景気対策になりません」 ベーシックサービス拡充への道
聞き手・井上充昌
岸田政権は介護や保育、看護、障害福祉で働く人たちの賃金を3%程度引き上げる方針を掲げています。これらの分野における待遇の低さといった問題は改善されるのでしょうか。連載の5回目は、財政社会学が専門の井手英策・慶大教授に話を聞きました。
井手英策さんの三つの視点
1)何のための賃上げかを明確に。少なくとも景気対策にはならない
2)分配というなら増税を。借金して配るのは、単なるバラマキにすぎない
3)「新しい資本主義」をめざすなら「ベーシックサービス」の道に踏み出すべきだ
増す将来不安 公共サービス無償の必要性
――「3%賃上げ」をどう見ていますか。
何のための賃上げか、もっと明確にすべきです。景気を良くしたいのか、あるいは賃金が全体的に上がらないなかで公的なものから上げていくということなのか。または他の業界に比べて賃金が低いことへの対策か、賃金を上げないと担い手がいないからなのか。
今、ぱっと思いつくだけでもこれだけ考えられます。賃上げをやっていいと思いますけど、例えば3%上げたって景気は良くならない。
――景気対策にはなりませんか。
なりません。財源規模を考え…
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