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3回目接種の方針で国が二転三転 吉村知事ら首長から相次ぐ困惑の声

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 新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の感染者が国内でも確認される中、医療従事者を対象としたワクチンの3回目接種が1日、国内各地で始まった。接種を担う自治体では高齢者ら一般の人を対象とした接種態勢の準備も進むが、二転三転した国の接種時期をめぐる方針に困惑の声も広がる。

 3回目接種のタイミングについて、厚生労働省は当初、「2回目接種からおおむね8カ月以上後」としたが、同省の分科会は「6カ月以降」に自治体の判断で前倒しできるとした。これに対し、全国知事会は6カ月へ前倒しを認める場合の基準を示すよう求め、同省は先月26日、高齢者施設や病院でクラスター(感染者集団)が生じた際などに限るとの条件を示した。

 国の方針の「揺れ」に困惑する自治体もある。

 「高齢者施設だけでも、一刻も早く3回目接種を始めたい」。東京都世田谷区保坂展人区長はオミクロン株の世界的な広がりに、そう危機感を募らせた。区内の高齢者施設すべてを回るのに約3カ月かかる。国の方針について、「二転三転して困惑している。実務を担う自治体にしわ寄せが来る」と不満をもつ。高齢者施設には新たな入所もおり、2回目接種から8カ月を迎える時期は一律ではない。「高齢者施設では接種券がなくても打てるようにしてほしい」と求めた。

 大阪府吉村洋文知事は11月30日、府庁で記者団に「8カ月経たないと接種できないというルールは問題だ。感染が急拡大してからでは遅い」と述べ、国の方針を問題視した。

 吉村知事はワクチン接種が進んだ国でも再び感染が拡大していることに加え、オミクロン株への警戒も必要になるとして「波が来てからでは遅いと思う。リスクの高い高齢者の接種をできるだけ早く進めるべきだ」と指摘。高齢者施設や高齢の入院患者が多い病院では8カ月を待たずに3回目の接種を開始できるよう、国に働きかけていく考えを示した。

 愛知県大村秀章知事は11月29日の会見で「クラスターが起きた医療機関や地域だけというのはちょっと違うのではないか」と疑問を呈し、政府の対応が二転三転したことに触れ、「それなら6カ月でいいということ」と述べた。同県では11月末でファイザー製の在庫が約58万回分あり、6カ月に前倒ししても「順次進めていくことは可能」(担当者)という。ただ、国が8カ月を前提に自治体への通知や説明会を終えており、県独自で前倒しする考えはないとしている。

 茨城県大井川和彦知事は6カ月で3回目の接種を進めたいとの意向を国に伝えていた。だが、厚労省の通知で6カ月への前倒しは例外的扱いとなり、県は8カ月で接種を進める方針だ。8カ月の場合、12月と来年1月の3回目接種の対象者は医療従事者や高齢者施設の入所者、職員らで約10万人に収まるが、6カ月に早めると、65歳以上の一般高齢者も含まれ対象は一気に約80万人に膨らむ。市町村の首長からは「県が医療スタッフや会場を確保してくれなければ対応できない」との声も出ていた。

 全国知事会長の平井伸治鳥取県知事は11月30日、3回目の時期について「オミクロン株が国内でも確認され、抗体価が落ちてくる中、現場としてはなるべく早い方がありがたい」と言及した。国が8カ月後を原則とした理由について「本当はファイザー社のワクチン在庫が十分に確保できないということなんだろう」と指摘した。

■予約で大混乱した過去の接種…

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