田中理事長の退職慰労金を保留 日大理事会、「損害」の被害届提出へ

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 脱税の疑いで逮捕された日本大学理事長の田中英寿容疑者(74)が、理事長を辞任する意向を大学側に伝え、1日の臨時理事会で了承された。大学トップの田中理事長は容疑を否認しているが、側近に続いて自らも逮捕される事態となり、辞任は不可避と判断したとみられる。

 関係者によると、臨時理事会では、加藤直人学長の理事長兼務を決め、約30人いる加藤氏以外の理事は全員辞任届を出した。田中理事長への賞与や退職慰労金の支給は保留するとした。

理事30人も辞任届 学長が理事長兼務に

 日大元理事・井ノ口忠男(64)、医療法人「錦秀会(きんしゅうかい)」(大阪市)前理事長・籔本雅巳(61)の両被告が背任罪で起訴された二つの事件について、大学が被害届を提出することも決めた。損害賠償を求める訴訟も検討するという。

 両被告は日大板橋病院をめぐり、①建て替え工事の設計業者選定②医療機器などの調達で、日大資金を籔本被告側の会社に不当に流すなどし、日大に計約4億2千万円の損害を与えたとされる。田中理事長は逮捕前、「損害は出ていない」などと被害届の提出を拒んでいたという。

 田中理事長は両被告や他の取引業者から2018年と20年に受け取った計約1億2千万円のリベート収入などを税務申告せず、約5300万円を脱税したとして、11月29日に所得税法違反の疑いで逮捕された。隠したとされる所得には①をめぐる謝礼や理事長再任の祝い金などが含まれているが、田中理事長は受領を否定しているという。

 田中理事長は日大相撲部で学生横綱になり、アマチュア相撲の第一人者として活躍。日大職員から理事、常務理事と昇格した。08年に理事長に就くと、権限の集約と側近の重用で5期13年の長期政権を築いていた。18年のアメフト部の悪質タックル問題では会見を開かず、今回も9月に自宅や理事長室が家宅捜索されて以降、一度も公の場で説明しないまま逮捕された。