衆院選中に有料ネット広告 自民・国民民主の3議員、公選法に抵触か

2021衆院選

篠健一郎山崎啓介
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 衆院選の選挙期間中に、自民党の候補者2人と国民民主党の参院議員が、フェイスブック(FB)に有料のインターネット広告を出していたことがわかった。公職選挙法は選挙期間中、選挙運動のために候補者名などを表示させた有料のネット広告を出すことを禁じており、同法に抵触する可能性がある。

 FBに有料広告を出していたのは、自民党から立候補した元総務政務官の谷川とむ氏(大阪19区)と、党女性局次長の国光文乃(あやの)氏(茨城6区)、参院議員で国民民主党副代表の伊藤孝恵(たかえ)氏。衆院選で谷川氏は小選挙区で敗れたが比例で復活当選、国光氏は小選挙区で当選している。

 公選法は、選挙運動期間中に候補者名や政党名を表示した有料のネット広告を出すことを禁じている。政党だけは例外で、政党の選挙運動用のホームページに直接リンクする広告であれば、政党(支部も含む)に限って出すことが認められている。

「私に任せて」「ガンバレ」

 FBの公開データによると、谷川氏は10月19日~11月1日、自身の顔写真や政策とともに「活動報告 谷川とむの政治活動」と書かれた広告をFB上などに出していた。広告のリンク先は谷川氏の個人ホームページだった。広告に「自民党」の表記はあるが、支部名の記載はなかった。

 国光氏は10月16~31日、「つくばに新しい公立高校の可能性など 国政の立場から、実現に向けて進めて参ります」などと文章やイラストで政策を訴える広告や、「メッセージビデオ」として自身の政治活動を紹介し「私にどうか任せてください」などと呼びかける動画広告を出していた。いずれも政党名と支部名は明記されていなかった。

 伊藤氏は10月13~31日、茨城、愛知、長崎の選挙区から立候補した候補者3人について、現地に応援に訪れた際の様子や候補者の人柄を紹介する広告をFBに出した。広告には「ガンバレ○○候補」(○○は候補者名)と候補者を応援する表現もあり、いずれも自身のユーチューブチャンネルの動画にリンクしていた。

 FBの有料広告は、広告を表示させるFB利用者の年齢や地域、期間などを設定することができる。費用をかけるほど多くの利用者に広告を表示できるが、選挙や政治に関連する広告はその費用や支出元などの情報をFBの運営会社が公開している。

 FBのデータによると、10月24~30日、谷川氏の広告は大阪府内にいた人に表示され、費用は約27万9千円。国光氏は茨城県内にいた人に表示され、費用は約4万円だった。伊藤氏は3候補者それぞれの選挙区の県にいた人に表示され、費用は約3万6千円だった。

議員側の見解は

 朝日新聞の取材に対して、谷川氏と国光氏の事務所はいずれも「公選法で認められた政党などによる有料広告として掲載した」とコメント。広告を掲載した媒体や期間についての質問には回答しなかった。

 ネット選挙に詳しい明治大の湯浅墾道(はるみち)教授は「いずれの広告も政党の選挙用ウェブサイトへのリンクがみられないため、公選法が認めている政党による広告の条件を満たしておらず、違法の可能性がある」と指摘する。

 その上で、谷川氏の広告については「議員個人の活動をPRするもので、個人への投票を呼びかける有料広告に該当する可能性が高い」とみる。国光氏の動画広告については「『任せてください』という表現は特定の候補への投票を依頼するものとしての性質が強く、政治活動の一環という線を越えているのではないか」。

 伊藤氏の事務所はFBへの有料ネット広告の掲載を認めた上で、「以前から議員の政見を広く知っていただくために、FB広告を利用した政治活動を行っておりました。今回もかかる活動の一環として行ったものです。公選法に抵触するとの認識はありませんでした」とコメントした。

 湯浅教授は「『ガンバレ』という呼びかけが他の議員への投票を呼びかけるものとして、選挙運動用の有料広告の禁止に該当する可能性がある」との見解を示した。

総務省「個別事情を勘案して判断」

 総務省選挙課の担当者は「有料ネット広告を認めると広告の利用が加熱し、選挙にお金がかかるようになる恐れがある」と説明。ただ、政党などの選挙運動用のホームページに誘導するために政党や政治団体が出す有料のネット広告は、「有権者が政党の政見に触れる機会を増やすため例外的に認められている」ともする。

 今回の広告が違法かどうかについては「特定の広告が公選法に違反するかどうかは、個別具体の事情を勘案して判断される」として回答を避けた。篠健一郎山崎啓介

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