吉右衛門さんに叱られたことなかった 「鬼平」で共演の梶芽衣子さん
編集委員・石飛徳樹
「鬼平犯科帳」のおまさ役で28年共演した梶芽衣子さんが吉右衛門さんの思い出を語った。
吉右衛門さんが「鬼平」に主演されるという記事を新聞で読み、「何でもいいから出してくれ」とプロデューサーにお願いしたのが出演のきっかけです。とにかく真面目で誠実な方でした。ただ、とてもシャイな方で、自分の意見をなかなかおっしゃらないんです。
最初は取り巻きの人も多くて近寄りがたい雰囲気がありましたが、私は普通に接したいと思い、撮影の待ち時間に話しかけると、普通に答えてくれました。お好きな果物のお話などもしました。「今日は機嫌が悪いんですか」などと平気で聞いたりしましたが、いつも笑って答えてくれました。
芝居については「ああしろ、こうしろ」といったことは全くおっしゃいませんでした。でもこちらから質問すると、本当に何でもご存じで、とても丁寧に教えて下さいました。おまさが夜鷹(よたか)に扮した時、手ぬぐいのかぶり方について「先をくわえた方が色っぽい」とか、「髪結い」の読み方は「かみゆい」ではなく「かみいい」が良いといったこともうかがいました。