抵抗できない職場の上下関係、日常的にいじめか クレーン暴行事件

仙崎信一、具志堅直
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 【鹿児島】川内川の橋の補修工事現場で男性がクレーンで振り回された暴行事件は、現場責任者が傷害致死容疑で再逮捕される事態に発展した。現場の川で亡くなった作業員の小森一郎さん(当時50)は日頃の暴力で抵抗できない心理状態に置かれていたという。県警は、背景に日常的ないじめがあった可能性もあるとみて調べる。

 現場は薩摩川内市平佐町の天大橋補修現場。地元の男性はお盆ごろ、河川敷でクレーンで人がつり上げられているのを見たという。「ふざけているのか、『おー』と騒いでいた。いま思えば、あれはいじめだったかもしれん」

 傷害致死などの疑いで逮捕されたのは現場責任者だった山下昌司容疑者(43)=暴行罪で起訴。発表によると、10月6日午前、市内の資材置き場で小森さんをトラックのクレーンでつり上げて振り回し、午後には橋の工事現場付近で川に入るように指示し、小森さんを溺死(できし)させた疑いがある。

 県警は、山下容疑者による暴力行為は6、7月ごろから日常的に続いていたとみている。山下容疑者は1次下請け、小森さんは2次下請けの社員で、現場では上下関係。小森さんは抵抗できない心理状態の中、川に入らされたとみている。

 現場にはほかに7人の作業員がいたという。なぜ、止められなかったのか。暴行が繰り返された理由は何だったのか。捜査1課の幹部は「今後の捜査で明らかにしたい」と話した。(仙崎信一、具志堅直)