「県議から裏金要求された」泉田衆院議員が会見 本人は「事実無根」

自民

高橋俊成 白石和之、宮坂知樹、松本英仁、長橋亮文
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 【新潟】自民党泉田裕彦衆院議員(比例北陸信越ブロック)は1日、東京・永田町の議員会館で記者会見を開き、長岡市三島郡選出の同党の星野伊佐夫・新潟県議から10月の衆院選をめぐり「2千万~3千万円の裏金を要求された」と述べた。「民主主義の根幹に関わる」として県連に対し星野氏の党員除名を求めるという。星野氏は「でたらめ。事実無根だ」と否定している。

 泉田氏によると、9月4日、星野氏の自宅で、衆院新潟5区で泉田氏が劣勢との情勢調査の結果を見せられた後、星野氏から「勝とうや。2千万(円)や3千万(円)もったいながったら人生終わるよ」と言われた。その際、星野氏は右手の親指と人さし指で輪をつくり、大仏のようなポーズを取った後、手帳を差し出して「お願いします」というしぐさを見せた。「この話は秘書の耳にも入れるな」と言われたことから、指の輪は「金」、それを渡して票を得る「裏金」を求められたと、泉田氏は感じた。

 泉田氏が2019年参院選広島県での大規模買収事件に触れ、違法行為はできないと答えると「そんなことを言えばきりがないんだ。そういう世界だ。信用できる人にまとめて(金を)渡せ」などと収支報告書に記載しない金銭を地元の特定人物に手渡すよう暗に求められた。泉田氏はこの時のやりとりを録音しているという。

 泉田氏は10月の衆院選では小選挙区で敗れ、比例復活。選挙後、県連会長の高鳥修一衆院議員にこの件について伝え、対応を求めた。高鳥氏に「証拠はあるか」と問われ、音声データがあると答えた。だが、音声を確認することなく「県連としては一切関与しない」と高鳥氏から11月下旬に返答があったため、今回の告発に踏み切った。

 泉田氏は会見で「お金で票を買うのは民主主義の根幹をねじまげる。放置できない」と述べ、星野氏の除名を求める文書を高鳥県連会長に提出するという。

 音声データに特定の個人名が含まれているとして会見では公開しなかったが、個人名が分からないようにした上で今後公開を検討するという。泉田氏は「県連が対応しないのは理解できない。(星野氏には)最初の知事選から世話になっているので、本当に残念」と述べた。(高橋俊成)

星野県議「全部うそだ」

 「証拠がないでしょ」「(裏金は)全くない。全部うそだ」。泉田氏の「告発」で名指しされた星野県議は報道陣の取材に憤りをあらわにした。星野氏の自宅で複数回にわたり衆院選に関する話し合いの場を持ったことは認めたが、金銭は要求しなかったという。星野氏は「親方同士が会って金の話はしない。担当者での話だ」と強調した。

 星野氏は当選12回で元県連会長。泉田氏の知事選への擁立や、知事辞職後の衆院選への立候補などに中心的に関わってきたが、「離別になるだろうな」と述べた。

 泉田氏が求める星野氏の党員除名について、県連の小野峯生幹事長は「正式に文書などが届いていない」として、この日は記者会見などで見解を明らかにしなかった。

 新潟5区での選挙戦を支援した宮崎悦男県議(小千谷市選出)は「選挙には費用がかかる。『裏金』が何を指しているのかわからない」と指摘。「信頼関係がなかったのだなと感じる」と悔やんだ。

 新潟5区で有権者が多い長岡市の自民市議の間には、冷めた空気が広がった。衆院選で泉田氏の長岡支部の選対本部長を務めた丸山勝総市議は「裏金」の事実関係について、「司法の場ではっきりさせていただきたい」とだけ述べた。ただ、選挙後にこうした問題が浮上したことに、「われわれと泉田氏との間に信頼関係を築けなかったということの表れ。それに関しては申し訳なかった」と話した。

 また、五井文雄市議は「星野県議と泉田氏の個人的なことだから、コメントのしようがない」としつつ、来年の参院選など今後への影響について「党のイメージとして痛手になる。これを契機に党の活力や団結を強めなければならない」と受け止めた。

 11月30日の総務会で、泉田氏が務める5区支部長の交代を求めて県連と協議するよう3役に一任された長岡支部の幹事長でもある。「今回の問題を別にしても支部と泉田氏との信頼関係がないという状況は変わらない」と語った。

 県連会長の高鳥修一氏は11月30日、「(党)県連としては一切関わりないことは(泉田氏側に)伝えた。突然ネット(SNS)に話の内容や名前を出され迷惑している」と文書でコメント。この日の会見を受けて改めてコメントすることはなかった。(白石和之、宮坂知樹、松本英仁、長橋亮文)

泉田裕彦氏の会見での発言

・9月4日、星野伊佐夫県議の自宅で星野氏から衆院選での情勢調査を見せられた後、「2千万や3千万もったいながったら人生終わる。いちいち警察に報告するわけじゃないんだから。信用できる人にまとめて渡せ」などと言われた

・広島での事件に触れ、違法行為はできないと答えると、星野氏は「そんなことを言えばきりがない」と発言

・星野氏とのやり取りは録音しており、今後公開を検討する

・その後、選挙期間に長岡市内に泉田氏の選挙ポスターを貼らないと言われたり、いつもお願いしていた運動員に断られたりした

・高鳥修一・新潟県連会長に対応を求めたが、11月下旬に「県連は一切関与しない」と言われた。今後、星野氏の除名を求めて書面を提出する

・除名が受け入れられない場合、自民党を離党するつもりはない