米軍機タンク投棄、「一歩間違えると惨事」 三沢基地副司令官ら謝罪

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 米軍三沢基地のF16戦闘機が投棄した燃料タンクの一つが、深浦町の役場近くに落下した。すぐそばには民家があり、重たい可燃物が直撃したら大惨事になるところだった。三沢基地の副司令官や防衛副大臣らは謝罪したが、再発は許されない事態であり、地元側は不安、不信を募らせている。

「ドーン」という轟音

 現場の敷地から二軒隣に住む千崎輝夫さん(83)は「ドーン」という轟音(ごうおん)に驚き、地震かと思って外に出たところ、大きな落下物があって油の臭いがしたという。「こんなものが落ちて、あれれって。怒ってもどうにもならないが、二度とこういうことがないようにしてほしい」

 1日未明に現場を確認した船盛博実・県危機管理対策監らによると、町有地である岩穴「猿神鼻岩(さるがみはないわ)洞門」のところにある棒状の柵の一部が、支柱から外れて傾いていた。その周辺に燃料タンクの一部とみられる部品が道路にもはみ出して散乱。燃料は約20メートルにわたって道路に漏れ出していた。

 散乱していた部品は、未明に県と米軍の関係者が通行の妨げにならない位置に移動させた。1日正午ごろには、三沢基地が編成した処理部隊など15人ほどが現場に入り、現場の写真を撮影してから公道から見えにくい位置に移動させた。処理作業は「爆発物処理のような手順が含まれるため、テロ予防の観点から公開できない」として報道陣による撮影を拒否。何らかの処理を行った後、荷車に載せ、車で牽引(けんいん)して基地に持ち帰った。

 一方、青森空港緊急着陸したF16戦闘機は1日午前1時50分ごろ、米軍三沢基地の関係者によって滑走路から駐機スペースに移動された。その後安全が確認されたことから、空港は同日朝から通常通り運用を開始した。

「ちょっとずれたら民家の屋根」

 1日午前8時ごろ、東北防衛局の市川道夫局長が経緯を説明して謝罪したいとして深浦町役場を訪れ、吉田満町長と面会した。

 2人は記者会見し、吉田町長は「ちょっとずれたら民家の屋根だった。訓練空域に町も組み込まれていると認識させられたので、安全管理については(米軍に)きつく申し上げたい」と話した。町上空が訓練空域であれば、再発してもおかしくないという懸念を示したものだ。市川局長は「すぐそばに民家があり、住民に不安な思いをさせたことを申し訳なく思う」と謝罪。「被害があれば補償はしなくてはならない」との考えを示した。

 吉田町長の元には同日午後、ティモシー・マーフィー三沢基地副司令官、鬼木誠防衛副大臣が相次いで訪れた。ティモシー副司令官は、原因究明や安全確保の徹底に努めると説明し、「町の皆さんに不安と心配をおかけしたことを遺憾に思っている」と謝罪した。

 また、吉田町長は「安全を第一に考えて運航しないと、過疎地域の町民といえども心の中にわだかまりが残る」と指摘。ティモシー副司令官は非居住地域に投棄したと当初説明したことに触れ、「みなさんの心情を傷つけた」とわびた。

 鬼木副大臣は「人的被害はなかったが、一つ間違えば人的被害もあったと懸念している。人が住んでいる地域に投棄することはあってはならない」と語ったという。吉田町長は「人間のやることだから事故はあるが、人の住んでいるところで訓練していいのか。日米の信頼関係にひびが入ることを懸念している」と話した。ただ一方で「防衛省や米軍関係者には、迅速に、しんしに対応いただけている」とも語った。

 一方、県は1日、三沢基地司令官と外相、防衛相、東北防衛局長に対し、事故の原因究明と再発防止、現場の速やかな現状復旧を求める要請書を出した。

 また、謝罪に訪れた鬼木副大臣とティモシー副司令官に対し、三村申吾知事は「可燃物で、相当な重量物であり、一歩間違えると大変な惨事になった。県民に大きな不安を与え、誠に遺憾」と指摘。米軍当局に厳しい申し入れをするなど厳正な対応を強く求めた。三沢基地のF16戦闘機は2018年にも燃料タンクを小川原湖に投棄している。三村知事は報道陣に「機体整備の問題がまた起きた。住民の安全があるのでしっかりと気をつけてほしい」と話した。