「小さなお葬式」のネット葬儀大手、不当囲い込み疑いを改善 公取委
公正取引委員会は2日、ネット葬儀サービス「小さなお葬式」を運営する業界大手の「ユニクエスト」(大阪市)が、提携する葬儀業者に競合他社と取引しないよう求めて不当に囲い込んでいた疑いがあったと明らかにした。独占禁止法違反(不公正な取引方法)容疑で調べていたが、ユニ社から改善の申し出があり、調査を終えたという。
ユニ社は、同社が独自に決めた定額プランで、各地で葬儀ができるサービスを展開。ネットで客を集め、提携する全国約1千の葬儀業者に葬儀を委託して業者から手数料を受け取っている。
公取委によると、同社は2018年6月に「特約加盟店制度」を開始。他のネット葬儀サービスと取引しないことを条件に、ユニ社に支払う手数料が約5~10%下がるというものだった。特に他の大手3社と取引しないことを求めていたという。今年9月現在で、提携業者の約2割が特約加盟店となっていた。
同社は業界シェア約4割を占める。公取委は葬儀業者を不当に囲い込むものと問題視し、今年6月に調査を開始。同社から9月で制度をやめたと申し出があり、再発防止策も精査した結果、調査を終えた。
同社は取材に「私たちとしか契約していない葬儀業者への割引サービスの感覚で始めたものだった。今後はより密に弁護士などに相談して確認し、お客様満足度が高まるよう運営していきたい」と話した。
同社は2009年に事業を開始。明朗会計や低価格をうたい、受注を伸ばしている。同様のネット葬儀サービスは「イオン」や「DMM.com」のグループ会社なども展開している。
公取委は、特定の社が葬儀業者を囲い込めば、葬儀サービス業者間の競争に悪影響を及ぼすと指摘。競合他社に掲載される式場数が減り、「消費者の選択の幅を狭める懸念もあった」としている。(田中恭太)
有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。