「忖度なし」時代映す日芸生の映画祭 今年はジェンダー・ギャップ

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佐藤美鈴
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 日本大学芸術学部映画を学ぶ学生たちが、問題意識や時代を反映したテーマを考え、準備や運営までほぼ全てを担う映画祭がある。11回目となる今年は「ジェンダー・ギャップ映画祭」。12月4~10日に東京・渋谷のユーロスペースで15作品が上映される。

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「ジェンダー・ギャップ映画祭」の打ち合わせをする日本大学芸術学部の学生たち=東京都練馬区

 映画祭は2011年度、古賀太教授(映画史)の授業の延長線上で始まった。テーマ設定から作品選定、配給やゲストとの交渉、宣伝まで学生が行い、興行的に成立させることも重視しながら、一般の劇場で入場料も取る。初回から関わる古賀教授は「学生が企画したいと自然発生的に生まれた映画祭で、面白がって次につながっていった。教員は口出しせず、学生たちが全部決めている」と説明する。

「学生運動」 「宗教」 「天皇」 「朝鮮半島」

 第1回は「映画祭1968」と題し、学生運動の嵐が吹き荒れた68年前後を扱った作品に焦点を当てた。その後も労働、マイノリティーなどと毎年テーマを変え、2016年は地下鉄サリン事件が起きた95年生まれの学生たちが、イスラム過激派のテロを受けて「宗教」に。前年に天皇陛下が生前退位の意向を表明した17年は「映画と天皇」として作家の半藤一利さんや佐藤優さんをゲストに招いた。

 18年は、「キューポラのある街」で描かれた朝鮮半島と日本の歴史に衝撃を受けた学生たちが、問題を身近なものとして考え直そうとした「朝鮮半島と私たち」。プログラムの一部はソウルでも上映された。

 19年は同じ日大のアメリカンフットボール部のタックル問題を受け止め、東京五輪を前に「スポーツの光と影」を考えた。20年は新型コロナの感染拡大や香港国家安全維持法施行などを受け「中国を知る」をテーマに台湾や香港、日本と中国の関係を見つめ直した。

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「ジェンダー・ギャップ映画祭」のチラシ

 会場のユーロスペースの北條誠人支配人は「学生だから出てくる攻めたテーマが目立ち、忖度(そんたく)や恐れがない。熱意に押されて特別に協力してくれるゲストもいる。今年の『ジェンダー・ギャップ』は学生が自分たちの問題として社会に何を感じているか、作品を通して見えてくると思う」と話している。

「今後の自分たちの生き方の鍵」

 「日本は無意識な差別や偏見、特に男女差別が根強く残る国である。時代の価値観が反映されやすい“映画”を学ぶ私たちだからこそ、見過ごされてきたこの問題に改めて向き合いたい」

 今年の映画祭の公式サイトに…

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