昆虫食、広がる養殖 コオロギ飼育に進出する二つの決め手
神田明美
全国各地でコオロギなどの昆虫食用の虫を育てる動きが広がっている。場所はビルの一角や専用ハウスに廃校も。関わる人の背景も様々だ。どうして今コオロギを育てようとするのか。
衣装ケースの中で、紙製卵パックの表面をコオロギがせわしなく動き回る。
太陽光発電事業や野菜の工場栽培をする「太陽グリーンエナジー」(埼玉県)が福島県二本松市で養殖する食用コオロギだ。一年中あたたかい気温で育てるため温度を調整したハウスの中の棚にケースを並べ、生産する。
「食料分野で社会の問題を解決する」という考えから、2017年に異業種参入でコオロギ養殖を始め、18年に食用の出荷を開始。荒神文彦社長は、「持続可能な食料を、国内で生産したい」と話す。
日本では、伝統的にイナゴや、蜂の子を食べる習慣があるが、最近、注目を集める昆虫食は養殖したコオロギや、カイコ、アメリカミズアブなどの幼虫だ。
世界人口が増える中、昆虫は将来、不足すると見込まれる牛や豚などに代われると期待されている。国際機関や調査会社などから、その必要性や、有望性に関する報告書が相次ぐ。
大きな理由は環境負荷だ。昆…