日常の自律と連帯、21世紀アナキズムのかたち 松村圭一郎さん

有料会員記事

藤生京子
[PR]

 文化人類学者岡山大学准教授、松村圭一郎さんの新刊『くらしのアナキズム』(ミシマ社)が話題を集めている。自分たちの力で立ち、助け合うという日常の営みと、その埋もれた可能性をアナキズムと位置づける試みが、混迷の時代を突破する力として求められているようだ。「僕らの生活に政治を取り戻したい」と話す松村さんに聞いた。

 「発表前は読者の反応が心配で」。松村さんは苦笑まじりに切り出した。

 「無政府主義」と訳されることが多かったアナキズムには、過激なイメージがつきまとってきた。保守層は反発するだろう。一方でアナキズムに親しい一群からは生ぬるいと批判されるかもしれない、と案じた。

 プルードン、バクーニン、クロポトキン、それに大杉栄ら歴代の著名なアナキストが登場しない本書で表明されるアナキズムとは、秩序を壊す思想ではない。自分たちの問題を話し合い、解決を目指す。困っている人がいれば手を差し伸べる。そういう自律と相互扶助の思考、そして態度である。

 だから既存の政府だって使いかた次第。台湾のデジタル担当相、オードリー・タン氏が「保守的なアナキスト」を自称、人々の「安全な居場所」作りに努める姿勢や、政府の透明性を説く発言にもふれた。

 強調するのは、遠くなってしまった政治をいかに自分たちの生活に取り戻すか。それは「抽象的な理念でも、ユートピアでも何でもない」と話す。

 未開と呼ばれた社会を対象に…

この記事は有料会員記事です。残り1032文字有料会員になると続きをお読みいただけます。
【1/24まで】2つの記事読み放題コースが今なら2カ月間無料!