コンテナで息絶えた娘、親に送った「愛してる」 消せないメッセージ

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ベトナム中部ゲン=宋光祐
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 ハノイの街角を歩いていると、間口の狭い小さな化粧品店を見かけることがある。そのたびに、私はひとりのベトナム人女性のことを考える。

 ファム・ティ・チャー・ミーさん。彼女の夢は、生まれ育った町に化粧品店を開くことだった。

 その夢がかなうことはなかった。一昨年10月、英国に密入国するために身を隠したコンテナの中で命を落とした。26歳だった。

 今年4月、私はチャー・ミーさんの両親を訪ねて、ベトナム中部ハティン省の町ゲンに向かった。2人に渡したいものがあったからだ。

 ハノイから車で6時間。道路沿いでは収穫の時期に近づいた水田の稲が、太陽の光を受けて青々と輝いていた。

 父親のティンさん(57)がバイクで近くの大通りまで迎えに来てくれた。後を追って脇道を進む。行き止まりの路地で案内された家は、平屋建てで壁の一部が崩れていた。昨秋の台風で壊れたままだという。右隣にある3階建ての立派な家との差が嫌でも目に付いた。

「初めて娘の夢を知った」母親は胸に抱きしめた

 母親のフォンさん(63)が居間で緑茶を入れてくれた。目の前に並んで座る2人に、私は持ってきたものを手渡した。

 それは、チャー・ミーさんが…

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