歴史修正主義を扇動した「論破」文化 感情に訴える言葉の危険性

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聞き手・田中聡子
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 相手を言い負かした方が正しいと思わせる「論破」という言葉がいまネット上にあふれています。社会学者の倉橋耕平さんは、この言葉の持つ効果を巧みに利用したのが「歴史修正主義だ」と指摘しています。1980年代末に生まれた「論破カルチャー」が社会にもたらす負の影響について、聞きました。

 1982年生まれ。専門はメディア文化論、ジェンダー論。著書に「歴史修正主義とサブカルチャー」など。

 SNSなどで顕著に見られる「論破」のカルチャーは、ネットによって新たに生まれたものではありません。

別次元のものを同じ土俵で議論

 その兆しは1980年代末から始まった討論系のテレビ番組に見られます。討論番組では、専門家ではないコメンテーターなどが議論に参加します。視聴者は、出演者が政治家や専門家をたじろがせる様子を面白がりました。同じ時期、ディベートや説得力を重視した自己啓発本がブームになりました。

後半では、論破文化が日本に広がった背景や代表格の政治家、「男らしさ」をテストするマッチョな側面について語ります。

 こうした流れの中で「歴史を…

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    プチ鹿島
    (時事芸人)
    2021年12月7日21時21分 投稿

    【視点】倉橋耕平さんの『歴史修正主義とサブカルチャー 90年代保守言説のメディア文化』(青弓社2018年)は本当におススメです。 私は8月4日の記事『「山尾志桜里やめます」 論破より対話へ、新たな道模索』のコメントで引用させてもらいました。

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    蔵前勝久
    (朝日新聞論説委員=国内政治全般)
    2021年12月6日17時40分 投稿

    【視点】 駒木論説委員が指摘するように、確かに国会でも「論破カルチャー」は広がっています。  この記事を読んだ時に思い出したのは、私も携わった2019年の連載「長期政権の磁界」で、当時政治部の中崎太郎記者が書いた「安倍政権、敵は容赦なく『論破』