美大のゴミ置き場は宝の山 制作現場から生まれる「副産物」の魅力

田中ゑれ奈
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 アーティストのゴミ箱は宝の山だった。木材や陶器の破片、余った塗料や樹脂の塊、失敗作に映像データ。制作や展示の過程で生まれる廃材を商品化、循環させるアートプロジェクトに取り組む。その名も「副産物産店」。

 京都を拠点に活動する矢津吉隆さん(41)と山田毅さん(40)の美術家ユニット。母校の京都市立芸術大学の移転整備に向けた調査の中で、美術系大学のゴミ置き場に着目した。学生たちは要らない材料や保管できない作品を捨てるほか、次の作品の素材をそこへ探しに来る。ゴミであってゴミではないこうした廃材を「副産物」と名付け、全国の美大やアトリエを訪ねて、作家と対話しながら仕入れる活動を2017年に始めた。

 例えばわずかな刷りの違いで失敗作と見なされる版画のように、作品とその副産物は、ほとんど見分けがつかないこともある。提供作家は若手から超大物まで幅広いが、誰の副産物かは明かさない。時にそのまま、時に椅子やキーホルダーなどに加工して、店舗やポップアップストアで販売する。DIYの材料にしたり飾ったり、花器や食器として使ったりと、どの副産物にピンとくるかは選ぶ人それぞれだ。

 多くの作家は大学卒業後、保管場所の都合で売れない作品を廃棄せざるを得なくなる。副産物は美術界の現状やゴミ問題を考え、ビジネスモデルを探るきっかけにもなる。ただ、一番の目的は楽しむこと。副産物を加工する試行錯誤の中で新たな副産物を生み出してしまうのも、アーティストの性だ。

 最近は壊れた楽器や作曲して使わなかったフレーズの断片など、音楽家の副産物にも手を広げる。芸大の新キャンパスに副産物の循環拠点をつくる構想も。ホテルアンテルーム京都(京都市南区)で1月30日までポップアップストアを開いている。(田中ゑれ奈)