チンチン電車はゆくよ 阪堺の「日本最古」車両、美々しく運転再開

鈴木智之
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 「チンチン♪」

 大阪市南部と堺市を結ぶ路面電車の阪堺(はんかい)電気軌道。大阪市住吉区の停留場で待っていたら、緑色の車体を揺らしながら、「モ161号」がやってきた。扉や窓枠などは木製だ。道路脇を歩いていた人が「えらい古いなあ」と声を上げた。

 それもそのはず、阪堺によると、1928(昭和3)年製で、通常の営業運転をしている電車としては「国内最古」という。大規模修繕を終え、2日から営業運転に復帰した。

 「モ161号」を含むモ161形は製造当時、2両連結した際、先頭の運転台から後ろの車両のモーターを動かすことができる最先端の制御装置を備えた。

 車体は鉄板と木材を組み合わせた構造だが、頑丈に造られたため、今も4両が残っている。

 中でもモ161号は阪堺線が開通100年を迎えた2011(平成23)年、内装にニスを塗るなど、約1千万円を投じて1965(昭和40)年ごろの姿に復元された。その後は正月の営業列車や、貸し切り列車で活躍してきたが、木製の扉や窓枠などが腐食してきたため、改めて大規模修繕をすることになった。

 コロナ禍に伴う阪堺の業績悪化などもあり、修繕費用集めにはクラウドファンディングを活用した。当初の想定の2倍近い約1400万円が集まった。外装を塗り直し、扉なども交換した。

 モ161号は2日、野太いモーター音を響かせながら大阪市内を中心に走った。沿線では鉄道ファンがカメラを構え、たまたま乗り合わせた乗客もニス塗りの車内に物珍しさを感じたのか、スマートフォンで写真を撮る光景が見られた。

 阪堺営業課の松本圭晃さんは「昔の雰囲気を楽しんでほしい。100歳を目指すので乗って応援を」とアピールする。

 当面の営業運転は来年2月末ごろまでを予定している。ダイヤは日替わりで、点検などによる運休もある。

 電車の走行位置がわかる「南海アプリ」ではモ161号を含め、モ161形の位置が赤色で示される。(鈴木智之)