コロナ禍で幕閉じた「海なし県」の名物 せめて最後に「さよなら」を

小林祝子
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 新型コロナウイルスの影響で今夏の最終営業もできないまま、半世紀の歴史に幕を下ろしたさいたま水上公園(埼玉県上尾市)のプールで12日、記念イベントが催される。「海なし県」の夏の名物として多くの県民に愛されたことから、管理するスタッフらが「せめて最後に『さよなら』をしたい」と企画した。

 イベントは「さいたま水上公園プール ありがとうイベント」。プールエリアを一般開放し、空になった波の出るプールにペンキで落書きできるようにする。波を出す装置や水の濾過(ろか)器など、プールの「裏側」を見せる少人数のバッグヤードツアーもある。

 敷地内では、プールの歴史を振り返る「50周年記念写真展」が一足先に始まっている。真っ黒に日焼けした子どもや大人たちが「芋洗い」のようにプールに入る様子や、流れるプールを利用して2001年まで冬季に開かれていたアイススケートの様子など計20枚が飾られている。

 市内で生まれ育ち、小さい頃からプールに通ったというアルバイトスタッフの星裕美子さん(25)は「思いがけない形で閉園が決まり涙が出たが、いまは最後の時間をかみしめている。写真を見て『懐かしい』と喜んでくれるお客さんがいてうれしい」と言う。

 さいたま水上公園は1971年に開業。7ヘクタールの敷地に七つあったプールには、ひと夏で80万人以上が訪れたこともあった。現在残る四つのプールは、設備の老朽化を理由に今年度限りの廃止が決定し、今夏、最後の営業に向けて準備が進められたが、コロナ禍の影響でそれも中止になった。

 イベントの一部は事前の申し込みが必要。公園管理事務所の野口周悟さんは「最後の思い出作りに来てほしい」と話す。問い合わせは公園管理事務所(048・773・6711)へ。(小林祝子)