大切に思い出す 高倉健さんからの言葉 香取慎吾さん

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聞き手・長谷川陽子
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 12月30日放送のNHKのドラマで、軍人の山本五十六役を演じます。役のために丸刈りにしたので、ウィッグをかぶっているんですよ。ちょうど髪形と芝居のことを考えていて、まじめな役は髪を黒く染めるってどうなんだろう、時代も変わってきて、髪の色は明るいけどお堅い仕事という人も今はいるんじゃないかな、なんて思っていた直後にこの話が来てびっくり。うれしくて、すぐにやらせてくださいと伝えました。

 自分が演じてこなかったような役だからとても難しかった。だからといって逃げるのではなく、真っ正面から向き合ってみようと思ったんです。初めて一緒に仕事をした演出の大原拓さんが、その時代を生きていたかのように勉強されていたんですね。椅子を引くときは背もたれのどこを持つとか、台本に書いていないところまで細かく言ってくれました。軍人は、その場に自分より上の人間がいるかどうかでいろいろな振る舞いが変わるんです。おかげですんなりと演じることができました。

 NHKのドラマに出るのは、三谷幸喜さんが脚本を書いた大河ドラマ新選組!」以来で17年ぶりです。大河は自分の人生で相当に大きな出来事でした。普通の連続ドラマって3カ月ぐらいなんですよ。3カ月たったとき、まだ途方もなく先があることに気づいて、楽屋でひとりがくぜんとしたことを今でも覚えています。つらくて何度かNHKのスタジオから代々木公園に逃げ出しましたからね。

 僕は演技が苦手で、俳優をやめたいと思うことすらあるんです。アドリブで話す番組とちがって、芝居は台本どおりにやらなければいけないから緊張するし、うまくできるか不安になる。そんな気持ちが若いころから続いているという感じです。

 以前、俳優の故・高倉健さんが生放送の番組にゲストで来てくれたことがありました。終わったあと少し話をする時間があって、健さんは僕が主演したテレビドラマ「西遊記」や「こち亀」のことを知ってくれていたんです。健さんは「本当にやりたい役じゃなかったとしても、若いうちにそういう仕事もたくさんやらなくちゃだめだ。それを積み重ねていくと、ああ、こんな役がやりたかったと思える役に出合えるから」と言ってくださった。

 僕自身はキャラものと言われ…

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