• アピタル

がんでも自分を取り戻せるように センター長が語るマギーズ東京5年

有料会員記事

上野創
[PR]

 がん経験者や家族がくつろぎながら悩みを話し、相談する「マギーズ東京」(東京・豊洲)が10月に5周年を迎えました。英国発祥のマギーズセンターに認められた国内唯一の施設で、寄付で運営されています。コロナ禍に翻弄(ほんろう)されながらも、オンラインの良さを採り入れて当事者をサポートし続ける取り組みを、センター長の秋山正子さん(71)に聞きました。(上野創)

写真・図版
マギーズ東京の秋山正子センター長。来訪者とお茶を飲みながら話すことが多い

 ――「家でも病院でもない第三の場所」とのことですね。

 安心し、くつろげる環境を目指しています。がんと言われた人も家族も、心の中にもやもやして整理がつかない感情が次々とわきますが、外来の診察で長時間のコミュニケーションは難しく、家でも話せない。

 ここでは看護師など医療の知識のあるスタッフが友人のように横に座り、話を聴きます。訪れた人は気持ちをはき出し、情報を整理し、自分の歩む道を見つけます。これまで約3万人が訪れました。半分弱が本人、2割が家族、あとは医療者、建築や園芸、企業の関係者です。

 ――昨年春からコロナ禍への対応を迫られました。

 昨年4月と5月は対面のやりとりを中止しました。代わりに電話とメール、オンラインの相談を広げ、やがて複数の人が参加するグループプログラムもオンラインで再開しました。私たちは、ふらりと来て景色や建物の雰囲気を味わい、スタッフと顔を合わせて話すことを重視しますが、今回はとにかくつながれるようにと。5月末以降は予約制で来訪も再開しました。

 お茶を飲み、たわいない話をし、時には共に黙る。やがて迷っていたり混乱していたりする話になります。ただ、メールや電話ではそうもいかない。スタッフも戸惑い、悩みながら対応しました。

 それでも、家から出ずに孤立し、孤独になった人たちの悲鳴のような声が、電話口からもメールからも伝わってきました。高まる不安をはき出す先がない。治療で決断を迫られても、相談できない。心の揺れに伴走して共に歩んでくれる人の存在、マギーズのような場所が今こそ必要だと感じました。

 ――家族も対象ですね。

 入院した家族に面会できず様…

この記事は有料会員記事です。残り1699文字有料会員になると続きをお読みいただけます。
【1/24まで】2つの記事読み放題コースが今なら2カ月間無料!