漢字「とめ・はね」で×の誤解 「字体」と「字形」知らない先生も

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中島鉄郎
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 漢字の「とめ・はね・はらい」って、細かく気にしすぎることもないんだ--文化庁が2016年に出した「常用漢字表の字体・字形に関する指針」を読むと、そんな思いにとらわれる。「とめ・はね」「長:短」など多くのケースで、「指針」は「どっちでもOK」と認めているのだ。ただ、世に出て5年たっても、教育現場では厳格な「とめ・はね」指導の例が目立つという。「指針」作成の責任者の一人だった早稲田大学の笹原宏之教授に聞いた。

 ――「指針」を作成した文化審議会国語分科会の漢字小委員会にかかわられました。「指針」の基本的な考え方を教えて下さい。

300人が手書きしたら300通りの字形

 「印刷文字の普及で、手書き文字への硬直した理解が増え、社会的な問題にもなってきました。例えば、役所の窓口で名前を届けるとき、『鈴木』の『鈴』の『令』を、『点』ではなく『縦の一』に書き直させられたり、教育現場での漢字テストの『とめ・はね』で、どっちでも誤りではないのに、『来』の縦の棒をはねていて×にされたりという例が多くあります。もう一度きちんと、手書き文字と印刷文字は異なり、細部を気にしすぎるべきではない、と周知しなければいけない、となりました。これまでの漢字政策を受け継ぎ、筆写の習慣と読みやすさや違和感について考えた結果です」

 ――「指針」では、「字体」と「字形」という二つの概念の違いを説明しています。

 「字体とは、文字の骨組みのことです。『学』と『字』は当然ですが、異なる字です。『学』と『學』は同じ字ですが、やはり互いに字体が違うわけです。一方、字形とは字の形、デザインレベルの差異を含むものです。300人が手書きしたら300通りの字形がある。印刷文字でも明朝、ゴシックなどの書体(フォント)にもそれぞれ独自の字形があります。骨組みである字体が正しければ、手書きで少し細部が違っていても、それは字形の違いにすぎず、誤りではありません。テストでも×ではありません」

 ――「指針」では例えば、「…

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