記者コラム 「多事奏論」
11月21日夜、国際オリンピック委員会(IOC)宛てにメールを送った。
「安否が心配される彭帥(ポンショワイ)選手についての正式な声明があるなら、共有してほしい」
IOC広報が声明を発表したようだという情報を耳にしたからだ。
中国の女子テニス選手、彭さんの投稿とされる文章がネットに公開されたのは11月2日。張高麗(チャンカオリー)前副首相から性的関係を強要されたという告発だった。投稿はすぐに削除され、彭さんの消息が途絶えた。
女子テニスの世界ツアーを統括する女子テニス協会(WTA)の会長は巨大な中国市場を失うのを覚悟で中国に真相解明を求めた。大坂なおみ選手や2024年パリ五輪組織委員会会長も心配の声を上げた。
対照的にIOCのトーマス・バッハ会長は沈黙した。IOCは委員の汚職事件など都合の悪い話題について、痕跡を残したがらない。会長の声明を公式サイトに載せるのではなく、広報責任者が各メディアの問い合わせに個別に答えるケースが多い。
22日未明、IOCから返信…
【視点】この記事が主張する「スポーツ界は政治的中立のままでいいのか」を、私たちは真摯に受け止めなければならないと思います。 スポーツはもはや政治と切り離せません。今夏に開催された東京五輪では関連施設の建設および治安維持のために多額の公費が投入