カプセルの茶室で感じる建築家・黒川紀章、ビルは来春以降に取り壊し

池田良
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 10平方メートルの部屋の円窓からは高層ビル群と首都高速道路が望める。背筋を伸ばしてお茶をいただくと、少しだけ時間を忘れた――。

 東京・銀座にある、巣箱を重ねたような集合住宅。建築家、故黒川紀章氏の代表作「中銀(なかぎん)カプセルタワービル」だ。11月、その一室で茶会が催された。

 氏が幼少の頃、自宅の茶室で勉学に励んだ体験が設計のアイデアにつながったという。その思いを体感しようと有志が企画し、住民やファンが集った。

 建物は1972年完成。設備の老朽化などもあり、来春以降に取り壊されることが決まっている。140あるカプセルの一部は保存される方向だ。

 ビルの保存・再生プロジェクト代表の前田達之さんはこのイベントについて「カプセルの異空間に魅せられた人は多かった。建物の余命を黒川氏とともに共有したかった」と話した。(池田良)

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