恋、鳥のさえずり、風の音 在日3世の私が出会った、祖国の声

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聞き手・桜井泉
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 歌と語りで人生の喜怒哀楽の長い物語を紡ぐ、韓国の伝統芸能「パンソリ」。大阪で生まれた在日韓国人のパンソリ唱者・安聖民(アンソンミン)さんがその不思議な声に出会った時には、まだ韓国語を流暢(りゅうちょう)に話せなかったそうです。パンソリの鍛錬を重ねた日々は、安さんにとって自分探しの道でもありました。

 ポッドキャストで、安聖民さんと桜井泉記者の対談、安さんによるパンソリ実演もお聞き下さい。

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リレーおぴにおん 「声を感じて」

 「不思議な声やなあ。どうやって歌うんやろか」。韓国語を習い、民族意識に目覚めつつあった大学生の頃、カセットテープから流れる「パンソリ」を耳にしました。おなかに響く圧倒的な声量、胸が締め付けられるような悲しい声、動物や鳥の滑稽な鳴き声。太鼓の音が小気味よく響きます。

 「パン」とは「場」のこと。「ソリ」は、人の声、鳥の鳴き声、川を流れる水や風の音など、世のありとあらゆる音を意味する言葉です。

 扇を手にした一人の唱者が、太鼓(ソリプッ)をたたく鼓手と組み、恋愛や家族、人生の喜怒哀楽などの長い物語を歌と語りで紡ぎます。朝鮮時代の18世紀ごろ、広場で演じられた大道芸から始まったと言われ、ユネスコ無形文化遺産になっています。

 私は大阪で生まれた在日韓国人3世で、母語は日本語です。韓国語で何時間もかかる語り物を披露するには、高い壁がありました。本格的に学ぶ場も日本にはありません。32歳の時に一大決心して、パンソリの本場、韓国・光州に渡りました。その後、ソウルに移り、計4年間滞在、大阪に帰った後も毎年、夏と冬には韓国で長期間過ごし、学び続けてきました。

 師匠は、長い物語を区切りな…

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