ラオスと中国を結ぶ鉄道開通 習近平氏「一帯一路の質の高い発展を」
ラオスと中国を結ぶ鉄道の開通式が3日、ラオスのビエンチャンであった。中国メディアによると、習近平(シーチンピン)国家主席はオンラインで出席し、ラオスのトンルン国家主席との会談では、巨大経済圏構想「一帯一路」への批判も念頭に「(事業の)質の高い発展を進める」と述べた。
中国メディアによると、習氏は「今後も運行や路線の保全、安全確保をしっかり行い、持続可能な沿線経済ベルトを造る」と述べた。現地ニーズに合わない過剰な投資などが指摘されるなか、一帯一路の質を高めるとの姿勢を強調した。
中国メディアはトンルン氏が「ラオス国民の鉄道の夢がついにかなった。鉄道の経済効果を最大限に発揮したい」と述べ、中国側の核心的な利益や北京冬季五輪の成功への「断固たる支持」を表明したと伝えた。
事前の報道は抑えめだった中国メディアも、3日は現場からの中継を交えて伝え、祝福ムードを演出。国営中央テレビは国境地帯に連なる沿線の景勝地や、山岳地帯を貫いた工事の難しさなどを詳報した。
ラオスでは初の長距離鉄道で、輸出や貨物収入、中国人観光客の増加といった経済効果に期待がかかる。ただ、建設費も技術も中国に大部分を依存している。一帯一路の東南アジア展開の実績を国内外に印象付けることになる。将来的にはラオスからさらにタイ、マレーシア、シンガポールへとつながる構想だ。
中国雲南省昆明からビエンチャンまで約1千キロを結ぶ。ラオスは国土の8割が山地と高原からなり、ラオス区間約422キロに170近い橋と75のトンネルがある。トンネルの総延長は約200キロに及ぶ。旅客車両の最高時速は160キロ。ビエンチャンと中国国境のボーテンまでは車で15時間ほどかかっていたが、鉄道だと3時間余に短縮されるとみられる。(林望=北京、翁長忠雄)