子犬・猫の命守れ 預かり協力募集 県内で広がり

吉川喬
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 【岡山】犬や猫の赤ちゃんを一般家庭などで預かり、一定期間育てる「ミルクボランティア」が足りない。小さな命を守るため、自治体は登録制度をつくったり、育成団体との連携を強めたりして確保に力を入れる。

 ミルクボランティアは、数時間おきの授乳や排泄(はいせつ)のサポートを含めた体調管理全般を担う。粉ミルクやトイレ砂などは自治体が提供する場合もあるが、急に体調を崩した時の医療費や移動費などはボランティア側の負担となる。

 環境省によると、引き取った犬猫は自治体だけではケアしきれず、譲渡前に衰弱死してしまうケースも少なくない。

 2019年度は全国で8万5897匹(負傷動物など除く)を保健所などが引き取り、6700匹が引き取り後に病気などで死んだ。うち4543匹は離乳前の赤ちゃんだった。県内も状況は同様で、県動物愛護センター(岡山市北区)と岡山、倉敷市の両保健所によると、19年度の引き取りは1276匹。引き取り後の死亡は39匹で、うち27匹が離乳前だった。

 引き取り後の死亡を減らすため、様々な取り組みが始まっている。

 県動物愛護センターは昨年4月、「一時預かりボランティア」の登録制度をスタート。子犬・子猫に加えて離乳後の猫の預かり協力を求めている。登録者は11月時点で犬は20人、猫は39人にまで増えた。倉敷市保健所は17年度から、公式な制度ではないが、子犬・子猫を受け入れられる可能性がある人の連絡先をホットラインとして確保。11月時点で個人の協力者は約20人いるという。

 岡山市保健所は今年4月に活動を本格的に始めた、ミルクボランティア育成などを目指す民間団体「岡山てのひら子猫」などと連携。ホームページで協力を求めるほか、講習会も開催している。市の「動物愛護ボランティア」に登録し、離乳前の犬猫の受け入れを可としている人は、猫が個人6人と3団体、犬が個人3人と4団体。少しずつだが増えてきているという。

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 岡山市中区の獣医師、吉田貴子さん(57)はミルクボランティアとして年間100~300匹程度の子猫を預かる。

 毎日、4、5時間おきに1匹1匹の口元を支えつつミルクなどを与え、体温や便の状況などから体調を確認する。その合間に、子猫をもらってくれる先を探すため、引き取り先募集サイトに猫を登録し、譲渡希望者からの質問や見学に応じる。安易な気持ちで希望する人も散見されるため、ペット可の物件に住んでいるか、猫の飼育経験があるかなどを確認する。トイレやゲージの掃除もあり、睡眠時間は4時間半ほどだ。

 年にもよるが、子猫が増え、生後数週間の生まれたての猫が混ざる4、5月は、体調を崩しやすいためより注意深く観察する。ミルクの間隔も3、4時間おきになり、長時間外出はできない。買い物が月1回程度ということもある。

 それでもボランティアを続けるのは「1匹でも多くの命を救いたいから」だ。最近は他のミルクボランティアが増えてきたため、徐々に年間の引き取り数が落ち着いてきたという。

 吉田さんは、ペットショップや飼い主が最低限のモラルを持つことが重要と指摘。その上で「引き取られた子猫を救う側の取り組みも必要。助けられる命を救えないことはもどかしい。もっとボランティアが増えて欲しい」と願っている。(吉川喬)