東北最多、オオカミの版木8枚発見 飯舘・山津見神社

佐々木達也
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 福島県飯舘村にある山津見(やまつみ)神社に、オオカミが描かれた版木8枚があることが分かった。東北の神社では最多で、オオカミ信仰の拠点だったことを裏付けるという。原発事故で全村避難中だった2013年に火災に遭い、拝殿は全焼したが、焼け残った土蔵に保存されていた。5日に一般公開される。

 オオカミ信仰を研究する宮城県村田町歴史みらい館の石黒伸一朗館長(63)が今年7月から土蔵を調べたところ、絵馬や版木など132点が見つかった。

 版木は31点。うち8枚にオオカミが彫られ、2頭が向き合った絵柄もある。石黒館長によると、版木は神社が氏子や参拝者に頒布するお札を刷るためなどに使われた。作った年代は入っていないが、江戸時代末期から第2次世界大戦前までのものと推定される。

 絵馬のうち3点にもオオカミが描かれていた。うち1点は約130年前の1893(明治26)年に奉納されたことが記されていた。

 神社の創建は平安時代の1051年。江戸時代までは「山神社」の名称で、現在の「山津見神社」となったのは明治時代に入ってからという。1904(明治37)年に建てられた拝殿には237枚のオオカミを描いた天井絵があったが、2013年に焼失。拝殿はその後再建され、天井絵も復元されている。

 石黒館長によると、オオカミを神の使いとするオオカミ信仰の拠点は、東北では山津見神社と、岩手県奥州市の三峯(みつみね)神社の2神社という。山津見神社の信者は福島、宮城、山形3県に広がっていたとみられる。

 石黒館長は今回の発見について「山津見神社がオオカミ信仰の拠点だったことを裏付けた」と評価する。氏子総代の佐藤公一さん(73)は「子どもの頃からオオカミ信仰の神社だと教えられてきた。それが真実だったことがわかり、すごいことだ」と喜んだ。

 今回発見された資料はほかに、社殿が再建された江戸時代の寛政9(1797)年の年号が入った棟札や、神社の由来を彫った版木などもあった。石黒館長は「火災ですべてが失われていたと思っていたが、貴重な資料がたくさん残っていた。今後も調査を進め、成果をまとめたい。資料を保存してほしい」と話す。

 一般公開は5日午後1時半~3時半、同村佐須の佐須公民館。石黒館長が説明する。無料。問い合わせは山津見神社(0244・42・0846)。(佐々木達也)