「ワクチン打ったら1万円」焼き肉店が求人 増える好待遇は差別か

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荻原千明、長富由希子
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「ワクチン接種済みであれば1万円を支給する」という求人を出した大阪市天王寺区の焼き肉店「喜久安(きくやす)」=同店提供
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 新型コロナウイルスのワクチンを接種した従業員に、手当を支払う店や企業が増えている。感染が下火になり飲食店などで働き手が不足するなか、求職者へのアピール材料になっている。ただ、接種できない人や慎重な人への影響を懸念する声も出ている。

焼き肉店「ワクチン接種済みなら、1万円」と求人

 ワクチン接種済みであれば、1万円を支給――。大阪市天王寺区の焼き肉店「喜久安(きくやす)」は通常より好待遇をうたい、求人サイトで正社員の募集をしている。

 新型コロナの流行が落ち着いたこともあり、人を雇っての店舗拡大を検討している。緊急事態宣言が9月末で明けた後、飲食店の求人が増えていると求人サイトの会社に聞き、応募者の目にとまりやすそうな現金支給を決めたという。

 3回目の接種も12月から始まった。自身も打つ予定という音野能慶(たかよし)店長(28)は、「『店員はワクチン接種済みか』と聞く客もいる。客に安心して欲しい」と話す。懸念は、国内でも感染者が確認されたオミクロン株だ。「流行すれば店員が接種済みでも客は遠ざかる」と心配する。

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1万円以上のワクチン手当支給をうたう飲食店の求人=求人情報サイト「バイトル」の画面から(画像の一部を加工しています)

ワクチン手当掲げる求人 15万件に急増

 人手不足は飲食業界に広く及ぶ。バイトルなど求人情報サイトを運営するディップによると、飲食系の11月第4週の求人件数は、8月第1週の1・9倍に増加。こうした状況を受け、ワクチン手当の支給を掲げる求人も、10月上旬の2万件から15万件(11月26日時点)へと大幅に増えた。

 同社の担当者は「幅広い世代にワクチンが行き渡り始めたころは、従業員に接種してもらい安心できる職場づくりのために手当を導入する企業が多かったが、人手不足が表面化するなか、求職者に目を止めてもらうためのツールに意味合いが変わった」と話す。オミクロン株の影響も「現時点ではほぼない」という。

 手当付きの求人を出し、手応えを感じる店も出ている。東京・神保町の「お好み焼・ねぎ焼十々」は10月下旬、接種済みか接種の意思を申し出た人に3カ月後、1万円の手当を支給するとの求人を出すと、26人の応募があったという。店主の渡辺哲さん(49)は「3、4人採用できればと思っていたが、予想以上の反応だった」と喜ぶ。

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「新型コロナワクチン2回接種済!!」と書き込んだ、「お好み焼・ねぎ焼十々」の渡辺哲さんの名札=2021年11月5日、東京都千代田区、荻原千明撮影

慎重論も 未接種者への「『差別』に思える」

 ワクチン手当に慎重な意見もある。都内のある居酒屋の男性店長は、「ワクチン手当を導入するのは、接種しているかどうかによる『区別』でなく『差別』に思える」と否定的な立場だ。

新型コロナワクチンを接種済みの人に手当を支給する求人が増えています。接種した人への好待遇は、未接種者への「差別に思える」という声もあります。どう考えれば良いか。厚生労働省日本弁護士連合会に聞きました。

 新型コロナワクチンをめぐっ…

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