楽譜なし、レコードも不明「幻の曲」 作詞した87歳が歌って復活

滝沢隆史
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 70年近くも前に作られ、長く埋もれたままになっていた上田電鉄別所線長野県上田市)を歌った曲が復活した。同線開業100周年の今年、「別所線の歌」としてお披露目された。

 作詞したのは、上田市出身の落語家・立川談慶さんの母、青木智恵子さん(87)=同市=で、地元出身のバイオリニストが曲をつけたという。

 青木さんは地元の高校を卒業後、1953年に上田電鉄の前身の上田丸子電鉄に就職した。20歳だった翌54年、社内で曲の公募があり、青木さんの作った歌詞が採用された。

 曲は社内の親睦会などで歌われたが、楽譜には残していなかった。当時、レコードを数枚作ったが、所在は不明。青木さんも入社10年ほどで退職し、その後は歌われなくなったという。

 別所線開業100周年を迎えた今年、青木さんは曲を復活させたいと考え、知人で元小学校教諭の柴田隆一さん(66)=同市=に採譜を依頼。青木さんが歌う曲を忠実に再現し、完成させた。

 別所線はかつて、川西線と呼ばれ、曲は「川西支部の歌」のタイトルが付けられていた。4番まであり、「煙りたなびく浅間」「自然を誇る温泉の煙」など沿線の自然や名所とともに、「輸送の使命一途に」「団結の力いや堅く」など鉄道員の責任感や誇りを揚々と歌い上げる。

 青木さんと柴田さんはこのほど同市役所を訪れ、土屋陽一市長や上田電鉄の山本修社長らに曲を披露した。土屋市長は「元気が出る曲」、山本社長は「昔の資料は社内にほとんど残っておらず、復活はうれしい。活用できないか考えたい」という。

 青木さんは「当時、1人で転轍(てんてつ)機を磨いていたときに、団結の大切さを込めて一気に作り上げた曲。上田市の応援歌のような曲なので、学校などで歌ってくれたらうれしい」と話した。(滝沢隆史)

「川西支部の歌」1番

煙りたなびく浅間を仰ぎ

尊き生命(いのち)を預かりて

雄々しく進む我が電車(くるま)

おゝ吾等

上田丸子電鉄の

川西支部の意気高し