住田町応急仮設住宅でクロージングセレモニー 

宮脇稜平、奈良美里
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 【岩手】住田町で4日、応急仮設住宅の閉鎖に伴う式典があった。昨年7月に全ての入居者が退去し、新型コロナの影響で式典を延期していた。入居者や地域の住民、NPOの関係者らが思い出を語り、旧交を温めた。

 町には中上、本町、火石の三つの団地が応急仮設住宅として建てられ、陸前高田などから避難した最大261人が暮らしていた。

 「住田の人は自分のことのように世話してくれて、家族のようにつきあってもらった」。本町団地の自治会長を務めた小林捷義(かつよし)さん(82)は声を震わせた。陸前高田市内の自宅が被災し、2012年から7年間、本町団地で過ごした。陸前高田に自宅を再建した今でも、住民同士の交流は続いているという。

 火石団地で8年間暮らし、自治会長を務めた平野茂さん(78)は「全部の区切りにはならないと思うが、一つの区切り」と話す。陸前高田市の自宅を津波で流され、目の前で友人を助けられなかった。「5、6年前はこうやって話そうとしても涙が出て声にもできなかった。今は涙が出ていないでしょ」とほほえむ。「少し切りかえができたのかな」

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 住田町の仮設住宅は木造が特徴で、町が独自に建てた。本来なら県が主導するが、町は「早急に住まいが必要」と判断し、震災からわずか3日後に設置を決定。災害救助法を適用せず4月下旬に13戸が完成し、その1カ月後には計93戸の木造仮設住宅が完成した。

 素早い対応の背景にはスギの産地としての準備もあった。震災前から「主要産業である林業を発展させたい」と考え、海外の被災地で活用されることをめざして木造仮設の図面などをほぼ完成させていた。

 これまでのプレハブ仮設と一線を画す木造仮設は2DKで、広さは従来のタイプとほぼ同じ。入居者のアンケートでは「木のぬくもりが感じられる」といった好意的な意見が多かったという。(宮脇稜平、奈良美里)