ワクチン3回目接種「できる限り前倒し」 岸田首相が所信表明演説

小野甲太郎
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 第207回臨時国会が6日召集され、岸田文雄首相は同日午後、衆参両院の本会議で所信表明演説を行った。新型コロナウイルスの新しい変異株「オミクロン株」の世界的広がりを踏まえ、ワクチンの3回目接種の前倒しを表明したほか、企業の賃上げを促す優遇税制の拡充を打ち出した。

 臨時国会の会期は21日までの16日間。政府は過去最大の総額35・9兆円の補正予算案を提出し、成立をめざす。与野党の代表質問予算委員会などが予定されており、岸田政権にとって初の本格論戦の場となる。

 首相は演説で、コロナウイルスワクチンの3回目接種について、2回目接種から8カ月以上あけるとしてきた原則を、「できる限り前倒しする」と表明。これまでの政府のコロナ対応を「徹底的に検証」し、来年6月までに司令塔機能の強化を含む「抜本的体制強化策」をとりまとめると明らかにした。

 経済政策では、新自由主義的政策が「世界経済の成長の原動力となった半面、多くの弊害も生み出した」と指摘。「成長も分配も実現する『新しい資本主義』を具体化する」と語った。経済安全保障の推進に向け、半導体工場の建設費を補助するための法案を今国会に提出する考えを示した。

 「分配」策としては、介護、保育、幼児教育の現場で働く人たちに対し、来年2月から3%、年間11万円程度、一定の条件を満たす医療機関で勤務する看護職に対しては段階的に3%、年間14万円程度に給与を引き上げる方針を示した。従業員の賃金を上げた企業などに対する優遇税制の拡充についても言及した。

 政府与党内では現在、2022年度の税制改正に向けた税額控除率について、大企業は最大30%、中小企業は最大40%に引き上げる方向で調整している。

 外交・安全保障政策をめぐっては、厳しい安全保障環境に対応するとして、「敵基地攻撃能力も含め、あらゆる選択肢を排除せず現実的に検討」するとの考えを示した。新たな国家安全保障戦略、防衛大綱、中期防衛力整備計画を「おおむね1年かけて策定」すると述べた。

 憲法改正については与野党による国会での議論に期待を示し、「国民理解のさらなる深化が大事だ」と主張。「現行憲法が今の時代にふさわしいものであり続けているかどうか、国民の議論を喚起していこう」と呼びかけた。

 立憲民主党泉健太新代表体制になり、岸田政権との初の本格論戦が展開されることになる。(小野甲太郎)