ベトナム戦争での韓国軍による虐殺を追う映画 韓国人監督が問う記憶

編集委員・北野隆一
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 ベトナム戦争に参戦した韓国軍による民間人虐殺の問題を追ったドキュメンタリー映画「記憶の戦争」(1時間19分)が「ポレポレ東中野」(中野区東中野)で公開中だ。11月20日には韓国人のイギル・ボラ監督(31)が上映後、観客に「歴史的な過ちをどう記憶したらいいか、問いかける映画です」と語った。

 韓国の朴正熙(パクチョンヒ)政権は1964年~73年、ベトナム戦争に兵士延べ30万人以上を派遣し米国を支援。戦争特需で韓国は経済発展を遂げた。韓国軍がベトナムで非武装の民間人を虐殺したと99年以降に韓国内で報道されたが、政府は否定。退役軍人らは反発し、報道機関や和解活動を行う市民団体に抗議してきた。

 イギル監督の祖父はベトナム参戦を誇った軍人だが、多くを語らず亡くなった。虐殺の問題を知り衝撃を受けた監督は、2016年~18年にベトナムで取材。家族を韓国軍に虐殺されたという女性らの証言を聞き、映画にまとめた。

 映画で証言したグエン・ティ・タンさんは20年、韓国政府に損害賠償を求めソウル中央地裁に提訴。11月には元韓国軍兵士が「民間人の死体を見た。隊員が(殺害について)話していた」と法廷で証言した。

 イギル監督は「韓国の若者は虐殺を知ると『韓国は侵略された被害者だと学校で教わったが、加害者でもあったとは知らなかった』と衝撃を受ける。過ちを繰り返さないためにも、映画が過去を考えるきっかけになってほしい」と話した。

 ポレポレ東中野での公開は12月10日まで。(編集委員・北野隆一