楽天送料無料「出店者に参加を事実上強制」公取委指摘、調査は終了へ

田中恭太
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 通販サイト「楽天市場」で一定額以上を購入した時に送料無料とする施策をめぐり、公正取引委員会は6日、運営会社の楽天グループ(東京)が出店者に施策への参加を事実上強制したり、店側に不利益が生じたりした事例があったと明らかにした。独占禁止法違反(優越的地位の乱用)の可能性があると指摘する一方、楽天から申し出のあった改善措置の実施を確認したうえで、調査を終えるとしている。

 この施策は、利用者が税込み3980円以上購入した場合に送料を原則無料とする「送料無料ライン(共通の送料込みライン)」。参加店舗は「39(サンキュー)ショップ」と言われる。全約5万5千店のうち約9割が導入しているという。

 楽天は米アマゾンへの対抗策として打ち出し、当初、2020年3月から全店に一律導入する方針を表明したが、送料は出店者側の負担になるため一部が反発。公取委も問題視し、同年2月には緊急停止命令を東京地裁に申し立てる事態となった。楽天は新型コロナウイルスの感染拡大を理由に、一律導入を直前で取りやめ、参加は任意とした。これを受け、公取委も申し立てを取り下げていた。19年8月以降は、新規出店者に参加を義務づけている。

 公取委が調査を続けたところ、楽天の営業担当者が出店者に「不参加店の商品は検索で上位に表示されなくなる」「参加店を対象に大型キャンペーンを実施する。いずれは参加しなければならなくなる」などと、不参加なら不利になると伝えたり、示唆したりした事例などが判明した。また、一時期において、楽天との契約形態を切り替える際には施策への参加を必須とする仕組みを導入していた。

 楽天は対外的に「むしろ売り上げが伸び、利益がある」などと説明してきたが、公取委は、やむなく参加した店の中には、送料分を十分に商品価格に上乗せできなかったり、上乗せして客離れが起きたりして、利益が減った店があったと説明。立場の弱い事業者に対して不当に不利益を受け入れさせる「優越的地位の乱用」に当たりうるとしている。

 一方、楽天は公取委に改善措置と再発防止策を提示。店舗の意思を尊重し、不参加店への不利な扱いをしないことなどを約束し、社内処分規定を設けることなども申し出た。公取委は違反容疑は解消されるとして、調査を終えることにしたという。

 楽天は「公取委からの指摘を真摯(しんし)に受け止め、店舗やユーザーの声にも耳を傾け、本施策の改善に努める」とコメントを出した。田中恭太

 楽天市場の「送料無料」施策をめぐる経緯

楽天市場の「送料無料」施策をめぐる経緯

 2019年1月 楽天が20年3月から一律導入する方針を発表。一部の出店者が反発

 12月 公取委が楽天からの相談に対し「独占禁止法違反のおそれがある」と伝えていたことが判明。その後も楽天は実施方針を維持

 20年1月 出店者でつくる「楽天ユニオン」が、楽天に排除措置命令を出すよう公取委に要請

 2月 公取委が独禁法違反容疑で楽天に立ち入り検査。その後、東京地裁に緊急停止命令を出すよう申し立て

 3月 楽天が新型コロナの感染拡大を理由に一律導入を見送り。公取委は緊急停止命令の申し立てを取り下げ。施策は任意参加で始まり、公取委は調査を継続

 7月 楽天が強制導入はしない方針を明らかに

 21年12月 楽天側が参加を事実上強制していたことなどが判明したと公取委が発表。楽天の改善策を受けて調査を終える方針