新しい資本主義、経営者の評価は? 「具体策の掲示なく…」の声も

景気アンケート2021年秋

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 主要100社を対象に朝日新聞が実施したアンケートで、岸田政権に期待する取り組みについて尋ねたところ、「コロナ対策」と「規制改革」を挙げる声が多かった。感染を防ぎつつ、経済成長を促す政策を求めている。政権が掲げる「新しい資本主義」への評価は、具体策を見極めようとする姿勢が目立った。

 政権が優先して力を入れるべき分野は「新型コロナ感染拡大を防ぐ取り組み」が最も多い54社にのぼった。次いで「経済成長を促す規制改革」が35社、「社会の脱炭素化に向けた取り組みの具体化」が31社だった。

 ファミリーマートの細見研介社長は「コロナ対策の継続した強化に加え、活発な消費喚起につながる経済活性化政策の実行に期待したい」とした。高島屋の村田善郎社長は「生活困窮者や弱者の支援は最優先すべき政治の役割」と指摘し、コロナ禍に苦しむ人たちへの支援が必要との考えを示した。

 コロナ対策で優先すべき具体策については「ワクチンや治療薬の安定供給、開発支援」が77社、「医療・検査体制の拡充」が67社あった。「コロナ収束後を見据えた対応」の20社、「Go To キャンペーンの再開など消費喚起策」の11社を上回った。

 国内の感染状況が落ち着いているうちに「第6波」への備えを進めるべきだとの意見が目立った。

 三井物産の堀健一社長は「冬場に向けて医療体制が再び逼迫(ひっぱく)する恐れがあるため、臨時医療体制や検査体制を充実させる必要がある」とした。

 岸田首相は「新しい資本主義」を掲げ、新自由主義的な政策の下で細った中間層を厚くする方針を示している。

 評価を尋ねると「大いに評価する」「ある程度評価する」が計45社にのぼった。自動車部品などを手がける日本ガイシの小林茂社長は「中間層が経済的に潤うことで我が国の発展につながる」、NTTの澤田純社長も「適切な分配により、更なる成長が促進されることが期待される」とした。

 SOMPOホールディングスのCEO(最高経営責任者)で、経済同友会の代表幹事も務める桜田謙悟氏は「米国の『株主第一』などの資本主義には疑問符が突きつけられている。『新しい資本主義』がロールモデルになるのでは、という期待がある」と話す。

 岸田政権の「新しい資本主義」については、「どちらともいえない」も29社あった。味の素の西井孝明社長は「具体策の提示が進んでおらず、評価を行う段階にない」とした。

 工作機械大手、DMG森精機の森雅彦社長は手厳しい。「本当に困っている人に出す分には誰も文句も言わないが、ばらまき合戦になっている」

 岸田政権は「分配」の一環として、賃上げした企業への税制優遇を強化する考えを示している。

 賃上げの是非などを検討する際、こうした優遇を考慮するかを聞くと「今後の具体策しだい」が最も多い60社。「具体的な政策が示され次第、中身を確認した上で考えたい」(富士通の時田隆仁社長)といった様子見の姿勢が目立った。

 税制優遇を「考慮に入れない」は10社、「入れる」は6社あった。東京製鉄の西本利一社長が「業績に応じて決定する方針なので、国の税金がどうであろうと関係ない」と述べたのに対し、安川電機の小笠原浩社長は「減税分を賃上げの底上げに使える」と述べ、前向きな受け止めを示した。

 また、10月に退陣した菅義偉・前政権については「大いに評価する」「ある程度評価する」があわせて70社だった。「どちらとも言えない」が10社、「あまり評価しない」は4社だった。

 菅前首相が進めた施策で評価するものを二つまで尋ねると、「新型コロナのワクチン接種の推進」が71社でトップ。「2050年の温室効果ガス排出量実質ゼロ目標」が43社、「デジタル庁の創設」が30社、「東京五輪パラリンピックの開催」が9社と続いた。

 住友化学の岩田圭一社長は「強いリーダーシップを発揮してワクチン接種を加速させて成果をあげた」とした。西武ホールディングスの後藤高志社長も「スピード感を持ってしっかりやった」と評価。実績にワクチン接種やデジタル庁の創設などを挙げた。