「お金を使いたいというマグマが」個人消費は回復するけど…懸念は?

景気アンケート2021年秋

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 主要100社を対象に朝日新聞が実施したアンケートで、企業の景況感が好転していることがはっきりした。個人消費について75社が「回復する」と答え、景気がコロナ禍前に戻るとの期待が高まってきた。感染の再拡大や原材料高への警戒感は強い。

 個人消費の今後3カ月の見通しをたずねたところ、「急速に回復する」が7社あった。ゼロだった今春調査との違いは明らかだ。

 サントリーホールディングス(HD)の新浪剛史社長は「お金を使いたい、というマグマがたまっている」と話した。緊急事態宣言は9月末に解除されており、抑えられていた消費が一転して盛り上がるとみる。

 「緩やかに回復する」は68社。前回の41社から大幅に増えた。

 ファミリーレストランやホテルを運営するロイヤルHDの黒須康宏社長は「あまり楽観はできない」とした上で、「10月以降は回復傾向。ホテルは10月、コロナ禍以降で最高の稼働率だった。ビジネス出張や週末レジャーのお客さんが少しずつ増えている」と話す。

 「一進一退が続く」は20社。「緩やかに落ち込む」や「急速に落ち込む」と答えた企業はなかった。

 個人消費への期待の高まりも背景に、国内の景気が来年中には本格的に回復するとみる企業が6割超にのぼった。

 コロナ禍前の20年1月ごろの水準まで国内景気が戻る時期をたずねたところ、「22年前半」が最も多い41社、「22年後半」がこれに次ぐ22社だった。3回目のワクチン接種や治療薬への期待が大きい。

 慎重な見方もある。

 「23年前半」「23年後半」は計17社。阪急阪神百貨店を傘下に持つエイチ・ツー・オーリテイリングの荒木直也社長は「インバウンドも含め、消費行動が回復するには2年近くかかる」とみる。「戻らない」は2社だった。

 鍵を握りそうなのは、コロナの感染状況だ。

 国内景気の懸念材料を聞くと「コロナの影響の長期化」が最も多い67社。調査したのは、変異株「オミクロン株」が国内で確認される前だが、「第6波」を警戒する声は目立った。

 ローソンの竹増貞信社長は「コロナが心の重しになって、消費者はセンシティブに動いている。感染者の数がひとたび増加に転じれば、大きな影響が出るのではないか」と心配する。

 東京海上HDの湯浅隆行副社長も「感染力の強い変異株によって再び感染が拡大すれば、経済活動が停滞するリスクがある」と指摘した。

 懸念材料として2番目に多かったのは「原油・原材料価格」で49社。製造業の収益が悪くなることを心配する声が相次いだ。

 素材メーカー、AGCの平井良典社長は「ガラスをつくるのに欠かせない天然ガスも世界的に取り合い。原油価格も高止まりしないか注目している」という。

 包装用のフィルムなどをつくる東洋紡の竹内郁夫社長も「原料であるナフサの価格は昨年と比べて2倍。年間100億円のコストアップにつながる」と危機感をあらわにする。

 世界の景気への見方は、国内景気よりも楽観的だった。「拡大している」が4社、「緩やかに拡大」が80社にのぼった。「足踏み状態にある」の12社、「緩やかに減速している」の2社を大きく上回った。

 今後の懸念材料は、「コロナの影響の長期化」が71社、「原油・原材料価格」が52社と国内の傾向と同様だった。「中国経済の減速」を危惧する企業も25社あり、前回の2社から急増した。