日本の敗戦を信じた人と信じなかった人 葉真中顕さんが描く葛藤

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興野優平
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 昭和天皇玉音放送で敗戦が伝えられたのち、ブラジルの日本人移民社会では敗戦を信じない「勝ち組(戦勝派)」と敗戦を認める「負け組(敗戦派)」とが争い、多くの血が流れたという。葉真中顕(あき)さんの新刊『灼熱(しゃくねつ)』(新潮社)は、この「勝ち負け抗争」に引き裂かれた2人の青年を描いた青春小説だ。

 沖縄生まれの比嘉勇(ひがいさむ)は、12歳でブラジルに移住した。入植先の農村で出会った日系2世、南雲(なぐも)トキオと友情を深め、大人たちから聞かされる神国日本の躍進に愛国心を深めていく。やがて成長した2人は、ブラジルまで届いた玉音放送を正反対の立場で聞いた――。

 「これまでの作品で最も多く資料にあたった。それだけ書くのに調べ物が必要な作品でもあった」と葉真中さん。

 葉真中さんは、「勝ち負け抗争」の背景には、当時の愛国教育によって人々のアイデンティティーと分かちがたく結びついた大日本帝国イデオロギーがあったと指摘する。

 「日本が負けるはずがないと…

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