「寄せて上げる」だけじゃない ワコールが挑むブラジャーの新常識
「寄せて上げる」から、それぞれの個性を尊重するブラジャーへ。時代の流れとともに下着の価値観は変わっている、とワコールホールディングスの安原弘展社長は話す。
昭和のころは、日本人は欧米人と比べるときゃしゃで、アンケートを取ると、ほとんどは胸を大きく見せたいという需要でした。すべての人が一つの同じ理想を目指す、という時代。ワコールも「ゴールデンプロポーション」という「理想の体形」を数値化して発表したことがあります。でも一人一人、差があって当然です。体形は年齢でも変化します。
近年、女性の意識やニーズは多様化しています。食生活の改善による体形の変化、SNSの広がりといった社会の変化が背景にあります。
隠れていた需要も顕在化するようになりました。数年前には「小さく見せるブラ」が大ヒットしました。胸が大きいということがコンプレックスになり得る、ということは、それまでは気づかなかった需要です。
それぞれの理想、個性を尊重するという流れを踏まえて、ワコールグループのブランド「ピーチ・ジョン」は昨年、お笑い芸人のバービーさんとコラボし、幅広いサイズの商品を展開しました。
ピーチ・ジョンはセクシーなイメージで、サイズもかつては限定的でした。「自分の体をもっと好きになってほしい」というバービーさんの思いは、いままでとは違う客層にも届きました。
似た動きは世界的に広がって…